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Stimulation~あなたの知らないオーストラリア(ファンクポップ編)



 ワ・ワ・ニーだけじゃない。




STIMULATION: 80s Australian Funk-Pop Gems

Stimulation (1986) - Wa Wa Nee
Holy Word (1986) - I’m Talking
Shout (1983) - Deckchairs Overboard
Waiting For A Train (1983) - Flash And The Pan
High Tension (1984) - SPK
Can’t Control Myself (1989) - Wa Wa Nee
Witch Queen (1987) - Chantoozie
Aural Risk (1981) - Asphixiation
The Hook (1983/2020) - Use No Hook
Idiot Grin (1985) - Do-Ré-Mi
I Feel A Song Coming On (1982) - Essendon Airport
Can’t Stop The Motor (1985) - Deckchairs Overboard
Pressure Sway (1983) - Machinations
Cut The Talking (1983) - The Dugites
Lead The Way (1985) - I’m Talking
The City Of Soul (1985) - Eurogliders
Disneyland (1983) - Do-Ré-Mi
Shoes Should Fit (1983) - Pel Mel
Do The Job (1983/2007) - Use No Hook
The Modern Bop (1984) - Mondo Rock
Something That You Said (1985) - Kids In The Kitchen
Sugar Free (1986) - Wa Wa Nee
I Hear Motion (1983) - Models
Iron Lung (1988) - Big Pig
Soul Kind Of Feeling (1984) - Dynamic Hepnotics
Love Don’t Live Here Anymore (1985) - I’m Talking
Rhymes (1987) - Rockmelons
Barbados (1985) - Models
Blush (1989) - Wa Wa Nee
Bonus Track:
Asphixiation (1981) - Asphixiation


 前回紹介した’80年代オーストラリア・ポップ選集『Down Under: Best of 80s Australian Pop』の続編『Stimulation: 80s Australian Funk-Pop Gems』。前回はインエクセス、クラウデッド・ハウスからオリヴィア・ニュートン=ジョン、カイリー・ミノーグまで含む’80年代オーストラリア・ポップのベスト・オブ・ベスト的な内容だったが、今回のプレイリストはそこに入れようがなかったアンダーグラウンドなバンドが中心。なにせ収録バンドの中で最もメジャーな部類に入るのがワ・ワ・ニーなのだから、相当にディープな世界である。

 プレイリストの多くを占めるのは、主に’80年代前半に活動したオーストラリアのポストパンク〜ニューウェイヴ勢の作品で、その中でも特にディスコ〜ファンク色の強い傑作ばかりを集めた。どこの国でもそうだが、この手のアングラ・バンドは商業主義との折り合いがつけられず、’80年代後半になると大体が失速、もしくは解散することになる。インエクセス、ミッドナイト・オイル、アイスハウスなどは上手いことメジャー路線に乗って生き残った数少ない豪州ニューウェイヴ・バンドの成功例と言える。前プレイリストにも1曲入れたファンクポップ・バンド、ワ・ワ・ニーのデビューは’86年。ミネアポリス・ファンクを咀嚼した超ハイクオリティなポップ・サウンドを聴かせる彼らには、インエクセスやデュラン・デュランはもちろん、プリンスやジャネット・ジャクソンとも同じ土俵で勝負できるくらいのポテンシャルが十分にあった。ワ・ワ・ニーこそは間違いなくオーストラリアの最終兵器だった……はずなのだが、売れなかった。小ヒットしたデビュー作『Wa Wa Nee』の後、彼らは『Blush』(1989)という圧倒的な傑作2ndアルバム(全くの不発に終わる)を残して解散してしまった。

 プレイリストは『Down Under』と同じく全30曲収録(2時間8分)。ワ・ワ・ニーが4曲、アイム・トーキングが3曲、モデルズ、デックチェアーズ・オーヴァーボード、ド・レ・ミ、アスフィクシエイション、ユーズ・ノー・フックがそれぞれ2曲で、その他は1曲ずつ収録。曲数が多い順に私のお薦めバンドということになる。




 7人組ポップ・ファンク〜R&Bバンド、アイム・トーキングはワ・ワ・ニーと並ぶ私のお気に入り。このプレイリストの大半の曲はロック・バンドがディスコやファンクにアプローチしたものだが、アイム・トーキングがやっているのは基本的にシックの延長にあるコンテンポラリーR&Bで、彼らは他のバンドとは立ち位置や目指しているものが全く違う。女性ヴォーカリストを2人擁した編成は、同時期のイギリスの女性デュオ、メル&キムや、オールドランド・モンタノ(ミスティ・オールドランド在籍)を思い出させたりもするが、アイム・トーキングはもっと遥かに熱いR&Bサウンドを聴かせるし、後にソロでも成功するリード・シンガー、ケイト・セベラーノ Kate Ceberano の歌唱も実にソウルフルだ(この人、めちゃめちゃ歌える!)。彼らのオーセンティックなソウル〜R&B志向は、ローズ・ロイス「Love Don’t Live Here Anymore」をカヴァーしている点にもよく表れている。バンドにサックス奏者がいたり、ベーシストが女性だったりするところも実にカッコいい。’80年代のオーストラリアにこんなにもクールで洗練されたR&Bバンドがいたというのは衝撃である(知らない人が聴いたらUKソウルだと思うのでは?)

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アイム・トーキングのアルバム『Bear Witness』(1986)と、’19年に蔵出しされた’84年〜’86年のライヴ音源集『Dyin’ To Be Dancin’』。後者ではエンプレスのディスコ・クラシック(表題曲)や、テルマ・ヒューストン「Don’t Leave Me This Way」のカヴァーも。ニューウェイヴの名残りを感じさせるゴツゴツした荒っぽい演奏が刺激的。デビュー前の最初期シャーデーとそっくりじゃないか!

 アイム・トーキングは、エッセンドン・エアポートというポストパンク・ジャズファンク・バンド(プレイリストにも1曲収録)のメンバーを中心に’83年に結成され、シャーデーと同じ’84年にEP『Someday』とシングル「Trust Me」でデビュー。国内でいくつかシングルを中ヒットさせ、’86年発表のアルバム『Bear Witness』もそこそこの成功を収めたが(全豪14位)、残念ながら’87年に解散してしまった。プレイリストには、彼らの代表曲「Holy Word(全豪9位。もう一人のヴォーカリスト、ザンのリード・ヴォーカル曲。かっちょえー!)、MJ「Wanna Be Startin’ Somethin’」にそっくりな「Lead The Way(全豪25位)、そして、元々シングルB面だったのが後にA面曲として発売されてヒットした「Love Don’t Live Here Anymore(全豪21位)の3曲を収録した(シングル「Love Don’t Live Here Anymore」のB面では、シャーデーもデビュー前にレパートリーにしていた「Cry Me A River」をやっていたりする)。YouTubeにいくつもMVがあるので、是非ご覧いただきたい。このバンドは最高である。激推し!!!

 ちなみに、「Holy Word」でリード・ヴォーカルを担当しているアイム・トーキングのザン・アビラトニ Zan Abeyratne(“アビラニ”という表記が最も原音に近いかも)にはシェリーン・アビラトニ Sherine Abeyratne という双子の姉妹がいて、そちらはビッグ・ピッグ(前回と今回のプレイリストに1曲ずつ収録)のヴォーカリスト。双子だけあってそっくりで、2人揃うとほとんど見分けがつかない。この美人姉妹はモデルズ「Barbados(プレイリストに収録。ケイト・セベラーノとザンがバック・ヴォーカルで参加)のMVにも出演している。

 ロックメロンズは、デニ・ハインズ(’96年「I Like The Way」などのヒットで日本でも知られる豪R&B歌手)をフィーチャーしたビル・ウィザーズのカヴァー「Ain’t No Sunshine」やレゲエ調のオリジナル曲「That Word (L.O.V.E.)」で’90年代初頭に大ヒットを飛ばすR&Bユニット。プレイリストには、全豪6位のヒットとなった彼らの1stアルバム『Tales Of The City』(1988)からの先行シングルだったアル・グリーンのカヴァー「Rhymes(全豪26位)を収録。

 ダイナミック・ヘプノティクスは’80年代前半に活動したシドニーのレトロソウル・バンド。いくつかのシングル/EP、ライヴ盤1枚、スタジオ・アルバム1枚を残して’86年に解散。プレイリストには、’84年に全豪5位になった彼らの代表曲「Soul Kind Of Feeling(初期マーヴィン・ゲイ+テンプテーションズな趣の佳作)を収録。ビリー・ジョエル『An Innocent Man』(1983)に対するオーストラリアからの返答?!


 後は基本的にロック系バンドなので特筆はしないが、ここに収録した曲に関しては黒人音楽ファンでも結構面白く聴けるのではないかと思う。デックチェアーズ・オーヴァーボードというバンドにはニューウェイヴ期のプリンス(『Dirty Mind』〜『1999』)と部分的に共通するものがあるし、SPK「High Tension」にはシック「Good Times」のベースラインが引用されたりしている。モデルズ「I Hear Motion」は、メンバー曰く、スティーヴィー「Superstition」をコピーし損なって出来た曲。’70年代末〜’80年代初頭に活動したユーズ・ノー・フックは、当時ほとんどレコード発売がなく、今年になってようやく過去音源が日の目を見たというバンドなのだが、びっくりするくらいファンキーだ(’07年に編集盤で発掘された代表曲「Do The Job」は、MJ「Off The Wall」とテディ・ペンダーグラス「Do Me」が合体したようなベースラインの傑作ニューウェイヴ・ディスコ・ファンク)。アスフィクシエイションは音も相当なヤバさだが、チ◯コ丸出しのジャケはもっとヤバい(このジャケ画像、普通に表示されてしまって良いのだろうか)

 ファンキーで刺激的な80sサウンドを求めている人はどうぞ。




 プレイリストにも収録のアスフィクシエイション「Aural Risk」(1981)のMV。窒息しそうになるほどお洒落。まるで最近のバンドみたいだ。




 グレーム・ダンとジュディ・マクギーの男女双頭ヴォーカル・バンド、ペル・メル。’82〜’83年にアルバム2枚出して解散。ヴォーカルのジュディはサックスやクラリネットも吹く。この「Pandemonium」(1983)も良いが、プレイリストには彼女のサックスが入ったシングル曲「Shoes Should Fit」を収録。サックス女子、カッコいい!




 最後にアイム・トーキング「Lead The Way」(1985)のMV。先述したMJ似の曲。いかにも“集合体”といった感じのバンドの佇まいが最高にカッコいい(サックスのイアン・コックスという人はちょっとエリック・リーズに雰囲気が似ている)。シャーデー並みに素晴らしいバンドだ。


TO BE CONTINUED...



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