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ジャマイケル



 マイケル、どうしたんだ!




JaMichael: Dope reggae covers of Michael Jackson

Disc 1:
Don’t Stop Till You Get Enough (1980) - Derrick Laro & Trinity
Shake Your Body To The Ground (1980) - Ruddy Thomas & Welton Irie
The Way You Make Me Feel (2012) - Kashief Lindo
Baby Be Mine (2012) - Easy Star All-Stars feat. The Green
The Girl Is Mine (2008) - Ghost feat. Nitty Kutchie
Off The Wall (2011) - Ghost
Billy Jean (1984) - Shinehead
Billie Jean Remix (2012/2018) - Chaka Demus & Pliers
Bad (2012) - Nitty Kutchie feat. Ghost
Human Nature [Remix] (1997/2005) - Ambelique
Billie Jean (1984) - Sly & Robbie
(We’ve Got A) Good Thing Going (1974) - The Browne Bunch
Never Can Say Goodbye (1995) - Pam Hall
I’ll Be There (2009) - Clinark feat. Adele Harley
You Are Not Alone (1995) - Pam Hall
Man Of War (2012) - Kashief Lindo
Heal Massa God World (1993) - Wayne Wonder feat. Buju Banton
We Are The World (2005) - Elephant Man

Disc 2:
Wanna Be Startin’ Somethin’ (2012) - Easy Star All-Stars feat. JoWil, Ruff Scott
Dance & Shout (2000) - Shaggy feat. Pee Wee
Remember The Time (2012) - Abijah
The Girl Is Mine (1984) - Horace Andy feat. Ricky Grant
Mix Up Situation (1996) - Ghost
Wanna Be Starting Something (1996) - Mike Anthony
Human Nature (1997) - Ambelique
They Don’t Care About Us (2017) - The Reggister’s feat. Shelly Sony
Thriller (2013) - Richie Phoe
P.Y.T. (Pretty Young Thing) (2012) - Easy Star All-Stars feat. Kirsty Rock
The Lady In My Life (2009) - Garnett Cross
This Is It (2010) - Da’ville
Rock My World (2003) - Don Campbell
Butterflies (2012) - Kashief Lindo
Speechless (2002) - Ghost
Heal The World (2010) - Ghost
Heal The World (2010) - Shyam Moses
The Lady In My Life [Dub] (2009) - Garnett Cross


 “ジャマイカのMJ”ことゴーストを紹介したところで、今度はマイケル・ジャクソンのレゲエ・カヴァー集『JaMichael: Dope reggae covers of Michael Jackson』。

 MJ楽曲に限らず、有名ヒット曲のレゲエ・カヴァー集とかボサノヴァ・カヴァー集みたいなアルバム企画はよくあるが、アレンジがあまりに類型的だったり、歌手がぬるかったりで、カフェのBGMにしかならないようなものがほとんど。ラヴァーズ調やボッサ調でやれば確かに何でも気持ち良くなるのだが、それだけで終わってしまっている安易な雰囲気ものがあまりにも多いと思うのです。(※個人の意見です。すべてがそうだというわけではありません)

 『JaMichael』は、そういう一部のうるさい音楽ファン(私)の声に応えて、数あるMJレゲエ・カヴァーの中から、これはヤバい! ふざけてんのか?! こんなのうちのカフェじゃ流せません!!! というドープな傑作・怪作・感動作ばかりを集めたプレイリストである(一部、カフェで流せるものもあります)。懐かしのCD2枚組スタイルで編纂されていて、ディスク1が18曲(77分)、ディスク2も18曲(74分)、合わせて36曲、2時間31分という大満足のボリューム。しかも、CD2枚組でありながら(プレイリストだけに)ディスク交換の必要がないという優れものなのである。

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「Billy Jean」「Lady In My Life」収録のシャインヘッド『Rough & Rugged』(1986)
「Human Nature」収録のアンベリーク『Sings The Classics』(1997)


 怪作が多いMJレゲエ・カヴァーの中でも群を抜いて怪しいのは、「Jamaican In New York」でお馴染みのシャインヘッドが’84年に出した「Billy Jean」。『続・夕陽のガンマン』の口笛が入ったヘッポコなリディムに、“フォー!”、“アッ!”、“ヒ〜ヒ〜!”等のわざとらしい掛け声を連発しながらMJ風ヴォーカルを乗せた脱力カヴァー。どういう発想なのか、何を狙っているのか、さっぱり見当がつかない(同じリディムを使った「The Lady In My Life」カヴァーもあり)。あらゆるMJカヴァーの中でもちょっと比類のない、伝説の珍品である。

 怪しさという点では、スライ&ロビー制作のアンベリーク「Human Nature」(1997)も負けていない(Disc 2に収録)。トライバルなパーカッションをバックにアカペラの歌声が密やかに響くフィールド・ハラー(労働歌)みたいな解釈は全く独特としか言いようがないが、更にヤバいのは、グレイス・ジョーンズ「My Jamaican Guy」のリディムを使ったそのリミックス版(Disc 1に収録)。「Human Nature」のあの美しい歌メロが、全く別の怪しげな表情を見せる。その他、マイク・アンソニー「Wanna Be Starting Something」や、どうかしちゃってるテンションのエレファント・マン「We Are The World」など、レゲエの中でも特にダンスホール系のMJカヴァーにはドープなものが多い。

 ジャマイカのMJ、ゴーストは当然ながら最多の6曲を収録。前回紹介したプレイリスト『Covers 4 Lovers』で敢えて外した「Heal The World」の美しいアカペラ・カヴァーはこちらで聴ける。

 ひとつ残念なのは、’70年代末にスージー・ブラウン Suzy Brown という13歳(にはとても聞こえない)少女歌手がUKラヴァーズ・レーベルのBushaysで録音した「Shake Your Body」を収録できなかったこと。Disc 2の2曲目は絶対これなのだが、Spotifyにないため、代わりにシャギーの同曲カヴァー「Dance & Shout」を入れた。スージー・ブラウン版は軽やかで絶妙に力の抜けた好カヴァーなので、良かったらYouTubeで聴いてみて欲しい(シャギー版が劣るというわけでは全くない。純粋に作品としての完成度はシャギー版の方が高いと思うし、「Dance & Shout」収録の彼のアルバム『Hot Shot』は私の愛聴盤でもある。この位置に入れるならスージー版の方が良いというだけの話である)

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MJ楽曲のレゲエ・カヴァー集──イージー・スター・オールスターズ『Easy Star’s Thrillah』(2012)、V.A.『Still The King: Reggae Dancehall Celebrates The Music Of Michael Jackson』(2012)、カシーフ・リンド『A Reggae Tribute To Michael Jackson』(2012)、V.A.『Michael Lovers』(2010)

 MJ楽曲のレゲエ・カヴァー・アルバムはいくつかあるが、中でも圧倒的に素晴らしいのは、ピンク・フロイド、レディオヘッド、ビートルズといったロック・バンドの名盤レゲエ・カヴァーで話題を呼んできたニューヨークのレゲエ・ユニット、イージー・スター・オールスターズが’12年に放った『Thriller』全曲カヴァー集『Easy Star’s Thrillah』。ソウル(ファンク)とレゲエ(ダブ)を絶妙なバランスで折衷したアレンジと、個性の違う複数の男女ヴォーカリストを曲ごとに入れ替わり起用する構成で『Thriller』の多彩な魅力を見事にリメイクした大傑作アルバム。プレイリストに入れた「Wanna Be Startin’ Somethin’」「Baby Be Mine」「P.Y.T.」は、その中のベスト3曲。特に「Startin’ Somethin’」のダイナミズムは圧巻で、これに関してはオリジナル超えと断言したい。確かマイケルは「Startin’ Somethin’」の仕上がりに不満を持っていたと思うが(ミックスに納得がいってない、とどこかで言っていたように記憶する。それを知って私は膝を打ったのだが……ソースを完全に失念。違ってたらごめんなさい!)、私はイージー・スター版を聴いて、マイケルは「Startin’ Somethin’」をこういうレベルに持っていきたかったのではないか、などと想像したりもした。「Thriller」のショート・フィルムに倣ったアートワークも文句なしの出来。MJレゲエ・カヴァーの金字塔と呼ぶべき名作である。

 『Still The King: Reggae Dancehall Celebrates The Music Of Michael Jackson』(2012)は、ダンスホール系アーティストたちが中心のカヴァー集。終盤にほんわかしたラヴァーズ・アレンジのバラード系楽曲メドレーもあり、意外とバランス良く綺麗にまとまった秀作(最後の「The Lady In My Life」はルー・ロウルズ版をレゲエ化したような渋い味わい)。ここからはチャカ・デマス&プライヤーズ「Billie Jean」(後から出たギター入りのリミックス版)、ニッティ・クッチー feat. ゴースト「Bad」、アビジャー「Remember The Time」をプレイリストに入れた。JB型ファンクの「Bad」は普通の歌手が歌ってもあまり面白くならないが、ゴーストの歌唱はさすがの切れっぷりで聴き応え十分(「Bad」の歌唱はとにかく気合いがすべてだと思う)

 カシーフ・リンド『A Reggae Tribute To Michael Jackson』(2012)は、J5~ジャクソンズ楽曲も含む計18曲をMJ以上の爽やかなハイトーンで丁寧に歌い上げた力作。かなりMJに寄せた歌い方をしていて、表題通りのストレートなカヴァー集になっている。曲数が多過ぎたのか、アレンジはちょっと大味なところもあるが(というか、曲の出来にかなりバラつきがある。曲順ももうちょい何とかならないか)、あまりカヴァーされない曲が取り上げられているところが嬉しい。プレイリストには「The Way You Make Me Feel」「Man Of War」「Butterflies」を収録。

 『Michael Lovers』(2010)は、ジャマイカのレゲエ歌手たちがMJ楽曲を歌った日本制作のカヴァー集。元々『Jackson Lovers』として’08年に発売されたアルバムに新録2曲を加えたMJ他界後の新装版。ここに入っていたトーラス・ライリー「Human Nature」は本国ジャマイカでもヒット。プレイリストにはダヴィル「This Is It」を収録。

 『JaMichael』が気に入った人は、これらのアルバムも聴いてみるといいんじゃまいか。さあ、君もレゲエを聴いて免疫力を高めよう!



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