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ピーター・ガンのテーマ



 マンシーニ、生誕96年。




PETER GUNN: The Definitive Collection

 小学生の頃、ドリフの「ヒゲのテーマ」と並ぶ私のお気に入りのテーマ曲が、「ナイトライダーのテーマ」と、そしてこの「ピーター・ガンのテーマ(Peter Gunn Theme)」だった。’58〜’61年にアメリカで放映された私立探偵ドラマ『ピーター・ガン』のテーマで、作者は言わずと知れたヘンリー・マンシーニ

 日本で『ピーター・ガン』が放映されていた’61年当時、私はまだ生まれていなかった。初めてこの曲を耳にしたのは、映画『ブルース・ブラザース』のテレビ初放映のとき(’83年)だったと思う。なんてカッコいい曲だろうと思った。その数年後、アート・オブ・ノイズのカヴァー版がヒットした’86年頃だったか、FMラジオでマンシーニのオリジナル版がオンエアされて、それを録音したテープを繰り返し飽きずに聴いていた。マンシーニのオリジナル版は『ブルース・ブラザース』版を遥かに凌ぐ衝撃的なカッコ良さだった。

 大人になった今の耳で聴くと、この曲はまるでモーリス・ラヴェル「ボレロ」(1928)をジャズ解釈して2分に凝縮したようだと思う。こんな2分間があるだろうか。この曲はジャズであると同時にリズム&ブルースであり、ロックンロールでもある。マンシーニは多くの名曲を残したが、この曲の簡潔さと密度は本当に驚異的だ。私の終生の名曲ベスト10に間違いなく入る1曲だし、20世紀音楽史の中でも最高の部類に入る傑作ではないかと思う。

 マンシーニの誕生日(4月16日)に合わせたわけでは全くなかったのだが、この「Peter Gunn」でプレイリストを作ったので紹介したい。’59年のオリジナル版から’20年2月発表のシーナ&ザ・ロケッツ版まで、「Peter Gunn」の様々なヴァージョンが60年分ぎっしり詰まった『Peter Gunn: The Definitive Collection』。通常のカヴァーはもちろん、歌詞が付いた歌唱版や、リフを引用した様々な別楽曲まで網羅している。現時点で計80曲、3時間44分。

 Spotifyに音源がないヴァージョンもたくさんあるが、「Peter Gunn」を集めたコンピとしては決定版と言っていい内容ではないかと思う。曲順は概ね時系列(同年に複数ヴァージョンが発表されている場合は順不同)。他の曲とメドレーにされているヴァージョンや、ライヴ音源は原則的に除外(例外あり)。’80年代あたりまでは入手可能なほぼ全てのヴァージョンを収録したが、’90年代以降に関しては、あまり創意の感じられないラウンジ系や再現系のカヴァー、尺が長いジャズ系やダンス系カヴァーなどは省き、個人的に優良だと思うヴァージョンのみを選抜した。ハズレ音源はひとつもない。実際に聴いて楽しむことを前提に、量よりも質にこだわって作ったプレイリストである。

 3時間44分という長さは自分で作ったプレイリストでもなかなか通しで聴く気にならないが、「Peter Gunn」となれば別である。私は実際にこの「Peter Gunn」集を通しで聴いてみたが、ちっとも退屈しなかった。この曲なら私は1日中でも聴いていられる。2分4秒が24時間のように濃く、24時間が2分4秒のように短く感じられる──「Peter Gunn」はそんな曲なのである。

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