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The Beatles──ポールの子守唄



 ありそうであり得ない夢のキャピトル編集盤。




The Beatles - Paul’s Lullaby

Side A:
Michelle (1965)
A Taste Of Honey (1963)
Till There Was You (1963)
And I Love Her (1964)
I’ll Follow The Sun (1964)
Yesterday (1965)
Here, There And Everywhere (1966)
Side B:
For No One (1966)
The Fool On The Hill (1967)
Mother Nature’s Son (1968)
Blackbird (1968)
I Will (1968)
The Long And Winding Road [No Phil Spector Overdubs] (1970/1996)
Let It Be [Single Version] (1970)

All songs sung by Paul McCartney


 ジョージリンゴでプレイリストを作ったので、じゃあ今度はポールで……ということで、ポール・マッカートニーのソフトでメロウなバラード曲を集めたビートルズのプレイリスト『Paul’s Lullaby』。LP様式の全14曲、35分。

 途中から大合唱に突入して盛り上がる「Hey Jude」や「Golden Slumbers」は除外。「P.S. I Love You」「Eleanor Rigby」「She’s Leaving Home」「Junk」は収録時間の都合で割愛。プレイリストなので収録時間も何もないが、敢えてLP尺という制限を設けることで、アナログ時代のアルバムが持っていた密度や完成度に迫ろうという試み(何でも自由がきくことは必ずしも良いことではない)。

 時系列で曲が並んでいるが、「Michelle」の位置だけおかしい。「Yesterday」と「Here, There And Everywhere」の間に入るべきところが、冒頭に来ている。なぜ「Michelle」で始まるかと言えば、それが私の一番好きなポールのバラード曲だからである。この理由に何の説得力もないことは十分承知している。他人が作った“私のお気に入り曲”プレイリストなど(有名アーティストが作ったそれならともかく)、私自身、一度も聴きたいと思ったことがないからである。私は自分が公開するプレイリストには、他人が価値を共有できる明確な編纂コンセプトを必ず設けることにしている(自分が好きだから、という理由だけで選曲したプレイリストは非公開設定)。そこで、この曲順の不自然さを合理化するべく、プレイリストに“キャピトル編集盤”というコンセプトを与えることにした。’60年代にビートルズのテキトーな編集盤を出していた米キャピトルだったら、こういうことをやってもおかしくないからである。

 ただ、実際に聴いてもらえれば分かるが、「Michelle」→「A Taste Of Honey」という冒頭の流れはミックステープ的にかなり良い。「Michelle」が抜けて「Yesterday」と「Here, There And Everywhere」が隣り合っている点にも違和感はない。基本的に時系列で曲を並べることにしたのも、音楽的な流れが驚くほど自然で、それでばっちり感動できるからである。

 もう少しどうでもいい話を続けると、収録時間の制限なしで考えたトラックリスト第一案は以下だった(赤色が最終的に選外になった曲)。

P.S. I Love You (1963)
A Taste Of Honey (1963)
Till There Was You (1963)
And I Love Her (1964)
I’ll Follow The Sun (1964)
Yesterday (1965)
Michelle (1965)
Here, There And Everywhere (1966)
For No One (1966)
Eleanor Rigby (1966)
She’s Leaving Home (1967)
The Fool On The Hill (1967)
Mother Nature’s Son (1968)
Junk [Demo] (1968/1996)
Blackbird (1968)
I Will (1968)
The Long And Winding Road [No Phil Spector Overdubs] (1970/1996)
Let It Be [Single Version] (1970)

 これは素直に全曲が時系列で並んでいる。全18曲、45分。後半は「Eleanor Rigby」で始まる。これでも悪くない。悪くないのだが、最終的な“キャピトル編集盤”ヴァージョンと比べると、どうしても聴き劣りがする。「Eleanor Rigby」は問答無用の名作だが、サウンドの緊張感が高すぎて、全体の流れからは浮き気味である。聴いていてリラックスできるかどうか、イージーリスニングか否か──分かりやすく言えば、カフェのBGMとして機能するか──というのがこのプレイリストの大きな選曲基準なので、この曲は残念ながら外さざるを得ない。「Eleanor Rigby」パート2的な「She’s Leaving Home」は、他の名曲群に比べると若干クオリティが落ちるように感じる。「Junk」のデモ録音(『Anthology 3』。後にポールのソロ作で発表される楽曲)も、それ自体は良いのだが、収録するとアコギ主体の『The Beatles』(1968)期の曲が4つも続いて間延びしてしまう。LP尺(約40分)という制限を設けることで、本当に必要な曲だけが残ることになった。

 「The Long And Winding Road」は『Anthology 3』版を使用(『Let It Be』版と同テイクだが、フィル・スペクターの過剰なオーバーダブがない。『Let It Be... Naked』の別テイクも悪くないが、ミックスのライヴ感が強すぎて他と馴染まない)。「Let It Be」は熱いアルバム版ではなく、耳触りが良く、しみじみと深い感動を与えるシングル版を選択。

 “子守唄”というタイトル通り、一貫して聴き心地が良く、入眠効果も高いプレイリストになっている。くつろぎのひとときや就寝時のBGMにどうぞ。






 おまけ。2年半前にも紹介したマセーゴの名曲「Navajo」(2017)と、キングストンのビートメイカー、J.L.L.によるその元トラック「I Love You」(2014)。最高の「Michelle」リサイクル。


TO BE CONTINUED...



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