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トーキョー画



 なんかへんなものがおっこちてったぜ




 2020年東京オリンピック非公式プレイリスト『Tokyo』。東京をテーマにした古今東西の名曲・珍曲を集めた“耳で聴く東京ガイドブック”決定版。これがトーキョーだ!

 全50曲の大半は海外アーティストの作品。ここで描かれるのは基本的に外国人の目から見た“トーキョー”である。このプレイリストを聴くと、東京という都市がこれまで海外でどのようなイメージで捉えられてきたかよく分かる。外国勢ばかりではアンフェアなので、日本代表としてYMO(「Technopolis」)、芸能山城組(「Kaneda」)、テリヤキ・ボーイズ(「Tokyo Drift」)、スクービードゥー(「Roppongi」)、starRo(「Harajuku Affair」)の5組を参戦させた。これぞまさしく音の東京オリンピックだ。

 掘れば掘るほどヘンな曲が出てくる。中でも一聴をお勧めしたいのが、オランダのロック・バンド、ザ・モノトーンズの「Cheap Cheap Cheaper (Tokyo Theme)」(1982)と、米パワーポップ・バンド、ザ・ルビナーズの「Go Go Tokyo」(2005)。いずれも日本人には絶対に作れない一撃必笑の東京テーマソングである。笑えるという点では、表題フレーズの力唱がたまらないアルカトラス「Ohayo Tokyo」(1986)や、ジャケも含めて意味不明なテンションが渦巻くライオット「Narita」(1979)も強力。電車の中では聴かない方がいいかもしれない。

 このプレイリストで個人的に気に入っているのは、序盤でトーキョーを俯瞰した後、6つの街に順にスポットを当てていく前半の流れ。銀座、原宿、六本木、渋谷、新宿、池袋……単に語呂で街の名前を並べただけなのだが、音楽的にも気持ち良くスムーズに繋がった。六本木をテーマにした3曲が突出してファンキーなのが面白い。エディ・ヒギンズ・トリオ「Shinjuku Twilight」(2004)は隠れた名曲(“池袋”の後の「Tokyo Blues」はホレス・シルヴァーの曲だが、ここではより音色豊かなカル・ジェイダー版を選んだ)

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「Tokyo」収録アルバム──プリンス『C-Note』(2004)、リアン・ラ・ハヴァス『Blood』(2015)

 このプレイリストを作成しようと思ったきっかけは、プリンスリアン・ラ・ハヴァスの2人がいずれも「Tokyo」という曲を作っているからである。リアンの「Tokyo」は’17年の来日時に歌詞拙訳と共に紹介した来日公演でも披露された)。プリンスの「Tokyo」は、’02年11月18日の武道館公演の際、NPG Music Club会員だけを招いた公開サウンドチェックで一度だけ披露されたレアな即興曲。そのライヴ録音(と言っても歓声は入っておらず、スタジオ録音と全く変わらないサウンド)は’03年初頭に日本人会員のみに限定配信された後、’02年ツアーのサウンドチェック音源を集めたライヴ・アルバム『C-Note』に収録された。

 『C-Note』には「Tokyo」の他にも、コペンハーゲン公演(’02年10月25日)で演奏された「Copenhagen」、名古屋公演(’02年11月29日)で演奏された「Nagoya」、大阪公演(’02年11月28日)で演奏された「Osaka」という曲が入っている。これらはいずれもインストのジャム曲だが、「Tokyo」のみ例外的に歌詞──プリンスが歌う“Tokyo”というリフレイン──が付いている。プリンスは過去にも“Oh wee oh, ohhh oh”という彼の定番リフレイン(「It’s Gonna Be A Beautiful Night」参照)を、東京公演のみ“To-ki-o, ohhh oh”に変えることがあった。“Tokyo”は彼にとって歌になる都市名だったようだ。「Tokyo」は、東京の夜景──徐々にカメラが引いて街が遠のいていく空撮映像──が思い浮かぶクールでメランコリックなジャズ・ファンク。プリンスがこのような曲を残してくれたことを私は東京人としてとても嬉しく思う。

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リアム・ウォンが撮影した雨の渋谷スクランブル交差点

 プレイリストのジャケ画像に写っているのは新橋駅前ビル2号館屋上のUCカードのネオンサイン。撮影者はリアム・ウォン Liam Wong。ネオンがきらめく夜の東京の景観を『ブレードランナー』のチャイナタウンや『アキラ』のネオ東京のように撮ることで知られるカナダ在住のグラフィック・デザイナー/写真家である。メインはカラーだが、モノクロ写真も『アルファヴィル』みたいで悪くない。これまで撮影してきたトーキョーの写真をまとめた彼の初の写真集『TO:KY:OO』が’19年秋に出版されるようなので、興味のある方はチェックしてみてはいかがだろう。




※この記事を投稿する直前に、Miyaviが「No Sleep Till Tokyo」という新曲を出していたことに気付いた。同曲は、東京オリンピック開催のちょうど1年前となる本日’19年7月24日発売の彼の同名アルバムの収録曲。日本代表に相応しいアーティストなので、テリヤキ・ボーイズ「Tokyo Drift」の後に入れようかと思ったが、流れが悪くなるためプレイリストへの収録は断念した。



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