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Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第4集】

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 ブルース・ブラザーズが取り上げたリズム&ブルースの名曲をアルバムごとにすべてオリジナル版で聴く究極の元ネタ音源集『The Blues Brothers’ Briefcase』。Spotifyを駆使して作り上げた、構想30年に及ぶ私の魂のプレイリストだ。

 完結編となる第4集で掘るのは、『ブルース・ブラザース』から18年ぶりに作られた続編映画『ブルース・ブラザース2000』のサントラ盤『Blues Brothers 2000: Original Motion Picture Soundtrack』(1998)。映画自体はベルーシ、キャブ・キャロウェイら鬼籍に入った前作出演者たちへの追悼を兼ねた盛大な同窓会といった趣で、ファンには何とも複雑な思いを抱かせる凡作だったが、アメリカの伝統音楽に対する変わらぬ愛と敬意に満ちたサントラはそれなりに優れたものだった。参加した大物ミュージシャンたちの高齢化により、18年前の前作に比べると音楽面でもパワーダウンは否めないが、オリジナル版ばかりで構成されたこの音源集に関しては、第4集も第1~3集に劣らぬ聴き応えがある。




The Blues Brothers’ Briefcase Volume 4

Born In Chicago [First Recording] (1965) - Paul Butterfield Blues Band
Last Night (1961) - The Mar-Keys
Cheaper To Keep Her (1973) - Johnnie Taylor
Looking For A Fox (1968) - Clarence Carter
Respect (1965) - Otis Redding
Respect (1967) - Aretha Franklin
634-5789 (1966) - Otis Redding
634-5789 (Soulsville, U.S.A.) (1966) - Wilson Pickett
634-5789 (1967) - Eddie Floyd
I Can’t Turn You Loose (1965) - Otis Redding
Riders In The Sky (1949) - Vaughn Monroe
John The Revelator (1930) - Blind Willie Johnson
John The Revelator (1965) - Son House
Let There Be Drums (1961) - Sandy Nelson
Season Of The Witch (1966) - Donovan
Funky Nassau (Part 1) (1971) - The Beginning Of The End
Funky Nassau (Part 2) (1971) - The Beginning Of The End
How Blue Can You Get (1949) - Johnny Moore’s Three Blazers
How Blue Can You Get (1964) - B.B. King
Turn On Your Love Light (1961) - Bobby Bland
New Orleans (1960) - Gary U.S. Bonds
Bonus tracks:
Minnie The Moocher (1961) - Gary U.S. Bonds
Checkin’ Up On My Baby (1966) - Sonny Boy Williamson
Checking On My Baby (1966) - Junior Wells
Please, Please, Please (1956) - James Brown with the Famous Flames

 第1~3集では基本的にオリジナル(初録音)版を前半、ボーナス・トラックとして後半にその他の優れたカヴァー版をまとめたが、第4集では各ヴァージョンをすべて曲ごとにまとめ、映画のエンド・クレジットに登場するサントラ未収曲のオリジナル版をボーナス扱いで最後にまとめた。また、カヴァー曲ばかりだったこれまでのブルース・ブラザーズ作品と違い、『Blues Brothers 2000』にはブルース・トラヴェラー「Maybe I’m Wrong」やマット・マーフィー「The Blues Don’t Bother Me」(’96年の彼のソロ・アルバムより)のように、そもそも原曲が存在しない曲──つまり、それ自体がオリジナル版──もいくつか収められている。それらに関しては、サントラと同じ音源を収録しても意味がないので、この音源集ではすべて除外してある。劇中でBBバンド版が流れる旧レパートリー「Peter Gunn」「Perry Mason」「Green Onions」も、第2~3集で取り上げ済みなので同様に除外した。

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『ブルース・ブラザース2000』──エルウッドが歌う「Cheaper To Keep Her」。バックにはジュニア・ウェルズ(ハーモニカ)とロニー・ブルックス(ギター)。映画の撮影から間もなく、ウェルズは癌のため’98年1月に他界した

 18年の刑期を終えて出所したエルウッドがストリッパーの車に拾われる場面で流れるのは、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドの1stアルバム冒頭曲「Born In Chicago」。サントラにも’65年のアルバム音源がそのまま収録されたが、重複を避けるため、ここでは同バンドがそれ以前に録音していた同曲の初録音版を代わりに使った(初出は同じ’65年にエレクトラから出たVAコンピ『Folksong ’65』)

 エルウッドと孤児バスターが車でストリップ劇場へ向かう途中、BBバンド版が流れる「Last Night」は、MGズの前身バンド、マーキーズが’61年にヒットさせたスタックスの原点とも言えるインスト曲。前サントラ盤と違い、『Blues Brothers 2000』は収録曲が基本的に劇中での登場順に並べられているので、このサントラ未収曲もそれに倣って「Born In Chicago」の次に入れた。

 エルウッドがストリップ劇場で歌うジョニー・テイラーのヒット「Cheaper To Keep Her」は、ウィルソン・ピケットやエディ・フロイドと同じく元ファルコンズのメンバーで、「Mustang Sally」や「Respect Yourself」の作者(前者はオリジナル歌手でもある)としても有名なマック・ライスの作品。マイティ・マック(ジョン・グッドマン)が同様にストリップ劇場で歌う「Looking For A Fox」は、エタ・ジェイムズ「Tell Mama」の作者でもあるサザン・ソウルマン、クラレンス・カーターが放ったサム&デイヴ「Hold On, I’m Comin’」似のヒット。

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「634-5789」のシングル盤2種。『ブルース・ブラザース2000』の「634-5789」場面を見ながら、“そこはティナだろ”と思ったのは私だけだろうか

 「Think」に代わるアレサの歌唱曲「Respect」は、ついでにオリジナルのオーティス・レディング版も収録。ウィルソン・ピケットとエディ・フロイドがテレクラで歌う「634-5789」は、“1, 2, 634-5789”の粋なカウントで始まるオーティス版をまず最初に聴き、この曲の初録音&決定版であるウィルソン・ピケット版、最後に作者エディ・フロイドによる自演版を聴く。映画ではピケットとフロイドに加えて若手ブルース演者のジョニー・ラングがフィーチャーされたが、テレクラガールの一人としてティナ・ターナーを出せばもっと盛り上がったと思う(彼女は’87年にライヴでこの曲をロバート・クレイとデュエット。『Tina Live In Europe』に収録され、シングル発売もされた)。せっかくティナ登場の前振りになる良い場面(電話口で年増女性が若い女の子を偽っている)があるのに、もったいない。

 ブルース・ブラザーズのテーマ曲「I Can’t Turn You Loose」は続編映画でもお約束的に流れる。サントラ盤ではこの曲のみ劇中での登場順を無視して前半(「Looking For A Fox」と「Respect」の間)に置かれているが、ここでは素直に劇中での登場順に収録した。サントラに使われたのはBBバンドによる新録版だが、ここで聴くのは例によってオリジナルのオーティス・レディング版。第1集と第2集に続いて3度目の収録だが、これはやはり外せない曲だ。

 前作の「Rawhide」を引き継ぐ「Riders In The Sky」はヴォーン・モンローの歌唱でお馴染みの定番カントリー・ソング。モンロー版が大ヒットした’49年に歌手/俳優のバール・アイヴス版や作者スタン・ジョーンズによる自演版、ビング・クロスビー版やペギー・リー版などが相次いで発売され、当時を代表する流行歌になった。他にもフランキー・レイン版やジョニー・キャッシュ版など大量のカヴァーが存在するが、リズム&ブルース・ファンは最も有名なヴォーン・モンロー版だけ押さえておけば良いだろう。

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『ブルース・ブラザース2000』──サム・ムーア、ジョー・モートン、JBらによるパフォーマンス

 「The Old Landmark」の代わりに選ばれたゴスペル・ブルースの伝承曲「John The Revelator」は、劇中で2度登場。エルウッドが出所する冒頭場面ではタジ・マハールによるアカペラ録音がBGMとして流れ、JBが登場する中盤の伝道集会場面ではサム・ムーアとキャブ(ジョー・モートン)らによってリズム&ブルース~ゴスペル調で歌われる。ここではこの曲の初録音とされる’30年のブラインド・ウィリー・ジョンソン版と、サントラに提供されたタジ・マハール版の基にもなっているデルタ・ブルースの偉人、サン・ハウスによる’65年のアカペラ版を聴く。タジ・マハールはサントラに参加しただけで映画本編には出ていない(と思う)が、エンド・クレジット場面で他の出演者たちに混じってチラッと顔を見せている。ちなみに、ここには入れなかったが、「John The Revelator」はブラインド・ウィリー・ジョンソンへのトリビュート盤『God Don't Never Change: The Songs Of Blind Willie Johnson』(2016)でトム・ウェイツが強烈なカヴァーを発表しているので、あわせて聴くことをお勧めしたい。

 お約束のド派手なカークラッシュ場面で流れる「Let There Be Drums」は、テディ・ベアーズ「To Know Him Is To Love Him」(1958)などで叩いていた白人セッション・ドラマーのサンディ・ネルソンが、「Teen Beat」(1959)に続いてソロ名義で放ったインストのヒット曲。サントラにはThe Carl Lafong Trioなるグループによるオリジナルの再現版のような演奏が使われていた(音源の使用許可が取れなかったのかもしれない)

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『ブルース・ブラザース2000』──魔女クイーン・ムセット役を演じたエリカ・バドゥ。この映画の救いは新たな“女王”として彼女が登場することに尽きる

 ドノヴァン「Season Of The Witch」は、魔女の館で行われるバンド・コンテストへBBバンドが向かう映画終盤の物語展開に合わせた選曲。ドクター・ジョン&BBバンドによるスワンピーなカヴァーはサントラの中でも出色の出来だった。

 エリカ・バドゥ演じる魔女の館でBBバンドとバドゥが共演する「Funky Nassau」は、ナッソー出身のファンク・バンド、ビギニング・オブ・ジ・エンドが’71年に飛ばした一発ヒットで、レア・グルーヴ好きにはお馴染みの曲。リフはJB「Give It Up Or Turnit A Loose」(1969)からの頂き。余談だが、このBB元ネタ音源集の前にプレイリスト『Baby Driver 2』を作っていたとき、「Give It Up Or Turnit A Loose」の次に入れようか迷ったのがこの曲(のPart 2)だった。暇な人は『Baby Driver 2』で代わりに使ったブラックバーズ「Rock Creek Park」(1975)もあわせてどうぞ。

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『ブルース・ブラザース2000』──The Louisiana Gator Boys: B.B. King, Bo Diddley, Eric Clapton, Jimmie Vaughan, Travis Tritt (guitar, vocals), Jeff Baxter (guitar), Steve Winwood, Billy Preston, Dr. John (keyboards, vocals), Charlie Musselwhite (harmonica, vocals), Jon Faddis (trumpet), Joshua Redman, Clarence Clemons (tenor sax), Grover Washington Jr. (baritone sax), Willie Weeks (bass), Jack de Johnette (drums), Gary U.S. Bonds, Lou Rawls, Koko Taylor, Tommy “Pipes” McDonnell, Isaac Hayes (vocals), Paul Shaffer (conductor, vocals)

 クライマックスのバンド・コンテストでオールスター・バンドのルイジアナ・ゲーター・ボーイズによって演奏されるスロー・ブルース「How Blue Can You Get」は、バンドにも参加していたBB・キングの持ち歌。ここではジョニー・ムーアズ・スリー・ブレイザーズによる’49年のオリジナル版と’64年のBB・キング版を続けて聴く。

 ルイジアナ・ゲーター・ボーイズに対抗してBBバンドが披露する「Turn On Your Love Light」は、BB・キングの盟友でもあったメンフィスの名ブルース/ソウル歌手、ボビー・ブランドの’61年のヒット曲。’78年の大晦日にブルース・ブラザーズがウィンターランドで前座を務めたグレイトフル・デッドのレパートリーとしても知られるこの曲(’69年の彼らのライヴ盤『Live/Dead』で15分に及ぶ白熱の演奏が聴ける)は、「Everybody Needs Somebody To Love」の後継曲として打ってつけだ。

 最後に全員でジャムる「New Orleans」は、’80年代初頭にブルース・スプリングスティーンのバックアップで劇的復活を遂げた黒人歌手、ゲイリー・US・ボンズの’60年デビュー時のヒット曲。カニバル&ザ・ヘッドハンターズ版「Land Of 1000 Dances」(1965)に似たコール&レスポンスのフックを持つこの曲は、同曲を大ヒットさせたウィルソン・ピケットによってもカヴァーされた(私は10代の頃にジョーン・ジェット版を通してこの曲を知った)。リズム&ブルースとロックンロールを股に掛けた名曲「New Orleans」は、黒も白も混じり合ってアメリカ音楽の歴史に乾杯するエンディング曲として申し分ない。映画にはルイジアナ・ゲーター・ボーイズの一員としてボンズ本人も出演し、曲の出だしを歌った。

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『ブルース・ブラザース2000』──エンド・クレジット後にサプライズ登場するJB

 ボーナス・トラック1曲目は、その「New Orleans」を含むゲイリー・US・ボンズのデビュー盤に収録されていたキャブ・キャロウェイ「Minnie The Moocher」の傑作リズム&ブルース調カヴァー。『ブルース・ブラザース2000』には登場しない曲だが、BBファンには馴染み深い前作登場曲ゆえ、「New Orleans」のオリジナル版とあわせて収録した。せっかくボンズがいるのだから、このリズム&ブルース版「Minnie The Moocher」をやってキャブ・キャロウェイを追悼する場面が劇中(もしくはエンド・クレジット)にあっても良かったのではないか。

 ジュニア・ウェルズの演奏場面がエンド・クレジットに登場する「Checking On My Baby」はサントラ盤未収曲。オリジナルのサニー・ボーイ・ウィリアムソン版は’60年に録音され、彼の死後にアルバム『The Real Folk Blues』(1966)を通して世に出た。それを同年に速攻で取り上げたのがジュニア・ウェルズ。この曲はタジ・マハールの’68年のデビュー盤でもカヴァーされている。

 中盤の伝道集会場面でサム・ムーアに主役を譲っていたJBは、最後の最後に特別枠で登場してパフォーマンスを披露。曲は説明不要の「Please, Please, Please」(これもサントラ盤未収)。映画と同じく、誰もが納得するJBの歴史的デビュー曲でこの音源集は幕を閉じる。


『ブルース・ブラザース2000』再考

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『ブルース・ブラザース2000』──ジョン・グッドマンはBBファン丸出しの単なる素人状態。チビっ子はマコーレー・カルキンに黒スーツを着せただけ。ジョー・モートンは健闘しているが、当時のハリウッドにはもっと良い人材がいたはず(下記参照)

 今回、この音源集を作るにあたって、私は『ブルース・ブラザース2000』を十数年ぶりに再見し、改めてつまらないなと思った。この続編は根本的にダメだ。

 失敗した要因は色々あるだろうが、最大の欠点は、前作から18年間の黒人音楽の進展が全くと言っていいほど脚本に反映されていない点にあると思う。ブルース・ブラザーズが登場した’70年代末、ディスコに染まっていた黒人音楽は、その後、ミネアポリス・ファンク、ヒップホップ、ニュー・ジャック・スウィング、ネオ・ソウルという具合に新陳代謝を繰り返して大いなる発展を遂げた。獄中に18年間もいたエルウッドはその変化を全く知らないはずである。彼はほとんどタイム・トラベラー状態だ。映画はそこを起点にするべきだった。

 前作のアレサ・フランクリン、ジェイムズ・ブラウン、レイ・チャールズらに代わる大御所として、例えばスティーヴィー・ワンダーやモーリス・ホワイト、シャカ・カーンやルーサー・ヴァンドロスを出す。あるいは、ロジャー・トラウトマンがトークボックスで「Midnight Hour」を歌ってエルウッドを驚かせたり、トニ・トニ・トニが出てきてソウルの古典曲を現代風に披露したり。エリカ・バドゥが出るなら、ディアンジェロやメアリー・J・ブライジが出てもいいはずだ。『ブルース・ブラザース2000』は、ジェイクを失ったエルウッドが、現代のアメリカで新たなソウル・ミュージックを発見していく再生の旅物語であるべきではなかったか。

 時代の移り変わりを知って途方に暮れるエルウッドは、ジャンクショップでとある古いソウルのドーナツ盤を見つける。ジャジー・ジェフがそれを回し、ウィル・スミスがラップしてみせたら、エルウッドは一体どんな顔をするだろう。ウィルはエルウッドにヒップホップを教え、逆にエルウッドは彼が知らない古いブルースや、生演奏の素晴らしさを教えてやる。最初に反目し合っていた両者はやがて意気投合し、仲間を集めてバンドを結成することになる。お馴染みの古株に加えてDJやラッパーを擁する新生ブルース・ブラザーズの誕生だ(ウィルはエルウッドによって“フレッシュ・ブルース”と名乗けられる)。黒装束のエルウッドとウィル・スミスが、“おまえら『メン・イン・ブラック』か?”とつっこまれる場面を想像して欲しい。あるいは、鍵盤を弾くスティーヴ・ウィンウッドの横にチューブをくわえたロジャー・トラウトマンが並んでいる光景を想像して欲しい。バンド・コンテストにプリンス&ザ・NPGが出てきたらどうする(当時の彼は元プリンス。劇中では“キッド”とでも名乗れば良い。条件さえ良ければノーギャラでも出演したのでは?)。『ブルース・ブラザース2000』はいくらでも面白く出来たはずなのだ。

 ジョン・ベルーシがいないからダメなのではない。ベルーシが死んだ’80年代初頭の時点から一歩も前進できていないことが問題なのである(若手としてジョニー・ラングやブルース・トラヴェラーが出演しているが、彼らのようなミュージシャンは18年前にも存在し得た)。一度成功した過去のフォーミュラをお約束として使い回す傾向は、3rdアルバム『Made In America』から既に始まっていた。仮にベルーシが存命で出演したとしても、前作から18年の間に起きた黒人音楽の変化を反映しない限り、『ブルース・ブラザース2000』は同じように、前作の焼き直し場面と懐古趣味だけで成り立った寒い続編になっていただろう。単純にコメディ映画として見ても、前年にヒットした『メン・イン・ブラック』をネタにできなかった時点で、ギャグ作家としてのエイクロイドやジョン・ランディスの衰えは明らかだ。『ブルース・ブラザース2000』はハリウッドの典型的な駄続編である。はっきりとダメ出しをできる人間が彼らの周りにいなかったことが残念でならない。


BRIDGING THE GAP BETWEEN PAST AND PRESENT
──過去と現在の溝を埋めたブルース・ブラザーズ


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ハーモニカやスプレー缶が入ったエルウッドの鞄(ベルト部分に金具で“BLUES”の文字)

 というわけで、ブルース・ブラザーズが取り上げたリズム&ブルースの名曲集『The Blues Brothers’ Briefcase』全4集を紹介した。最後はちょっと辛口になってしまったが、彼らの果たした功績が大きいことに変わりはない。彼らの初作『Briefcase Full Of Blues』は史上最も売れたブルース・アルバムとも言われるし(エリック・クラプトンやローリング・ストーンズなどロック系アーティストの作品を除く)、ブルース・ブラザーズを通してアメリカの古いブルースやリズム&ブルースを知ったという人は世界中に数え切れないくらいいるはずだ。彼らが残した作品は、今でも伝統的なアメリカ音楽への最良の入り口であり続けている。

 ブルース・ブラザーズの演奏を聴いて、実際にその曲のオリジナル版まで遡って聴く音楽ファンはそれほど多くないかもしれない。しかし、今ではレコードやCDを1枚ずつ買い集める必要もなく、Spotifyで曲名やアーティスト名を検索するだけで簡単に過去の素晴らしい音源に触れることができる。この音源集を作りながら、私自身も多くの作品を初めて聴き、新たな発見をたくさんした。これまで有名どころを聴きかじった程度で、あまりまともに掘ってこなかった古いブルース演者たちの作品も、これを機にまた少しずつ聴き始めているところだ(私は取りあえずタジ・マハール作品を聴き漁り、’90年代のアルバムの素晴らしさに驚いた)。音楽ファンの皆さんにとって、私の作ったプレイリストが過去の名作を発見する上で手助けになれば幸いである。気に入った音源があったら是非アーティスト名をクリックし、そのミュージシャンの他の作品も聴いてみて欲しい。



 ところで、最後にもうひとつボーナス・トラックがある。今年で没後20年となるロジャー・トラウトマン、その最終ソロ作となった『Bridging The Gap』(1991)の最後に収められている「Hurry Up」。この連載の締め括りにぴったりの曲だ。’80年代に黒人音楽の過去と現在の溝を見事に埋めたロジャー。彼は『ブルース・ブラザース2000』で真っ先にキャスティングされるべき音楽界の偉人だった。


Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第1集】(2019.02.09)
Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第2集】(2019.02.11)
Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第3集】(2019.02.13)
Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第4集】(2019.02.15)



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