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Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第3集】



 ブルース・ブラザーズが取り上げたリズム&ブルースの名曲をアルバムごとにすべてオリジナル版で聴く究極の元ネタ音源集『The Blues Brothers’ Briefcase』。Spotifyを駆使して作り上げた、構想30年に及ぶ私の魂のプレイリストだ。

 第3集で掘るのは、映画『ブルース・ブラザース』の公開から半年後に発表された3rdアルバム『Made In America』(1980)。1stと同じくリズム&ブルースの古典曲のカヴァーで構成されたライヴ盤。話題性のあるうちにもう1枚、という感じで出されたアルバムで、正直、前2作に比べると新鮮味には欠けるし、セールスも大幅に落ちたが(’94年の映像集『The Best Of The Blues Brothers』でのダン・エイクロイドの話によると、1stの売り上げは約300万枚、2ndは100万枚、3rdは30万枚)、レパートリーを更新してまだまだ勢いは保っている。ジョン・ベルーシ他界前のオリジナル・ラインナップによる、マンネリ化寸前の最後の輝きを捉えた佳作だ。




The Blues Brothers’ Briefcase Volume 3

Soul Finger (1967) - The Bar-Kays
Funky Broadway (1967) - Wilson Pickett
Who’s Making Love (1968) - Johnnie Taylor
Do You Love Me (1962) - The Contours
Mother Popcorn (You Got To Have A Mother For Me) (1969) - James Brown
Guilty (1974) - Randy Newman
Perry Mason - The Hollywood Prime Time Orchestra
Instead of the original TV soundtrack recording (Not on Spotify)
Riot In Cell Block #9 (1954) - The Robins
Green Onions (1962) - Booker T. & The M.G.’s
I Ain’t Got You (1960) - Jimmy Reed
From The Bottom (1955) - Sonny Boy Williamson and His Houserockers
Please, Please, Please (1967) - Wayne Cochran
Instead of Goin’ Back To Miami (1966) - Wayne Cochran (Not on Spotify)
Bonus tracks:
Funky Broadway (Part 1) (1966) - Dyke & The Blazers
Funky Broadway (1969) - Don Bryant
Who’s Making Love (1968) - Willie Mitchell
Who’s Making Love (1969) - Tony Joe White
Guilty (1974) - Joe Cocker
Guilty (1973) - Bonnie Raitt
Riot In Cell Block Number 9 (1961) - Wanda Jackson
Green Onions (1963) - The Surfaris
Help Me (1963) - Sonny Boy Williamson
I Ain’t Got You (1956) - Billy Boy
Expressway To Your Heart (1967) - Soul Survivors
Expressway To Your Heart (1969) - Don Bryant
Expressway (To Your Heart) (1968) - Booker T. & The M.G.’s

 オリジナル(初録音)版を中心に重要なヴァージョンを一通り確認した後、例によってボーナス・トラックでその他の優れたヴァージョンを聴いていく。

 「I Can’t Turn You Loose」に代わる新たな入場テーマ「Soul Finger」の途中に挿入される「Funky Broadway」は、’66年のダイク&ザ・ブレイザーズ版がオリジナルだが、翌年にウィルソン・ピケットがカヴァーして大ヒットさせた曲。ここではBBバンドが参照している後者を前半、オリジナル版をボーナス扱いで後半に収めた。’70年代にハイ・レコードを裏で支えたメンフィス・ソウルマン(兼アン・ピーブルズの旦那)、ドン・ブライアントによる’69年のカヴァーもピケット版に劣らぬ熱さだ。

 ジョニー・テイラー「Who’s Making Love」は、第2集で紹介した「Gimme Some Lovin’」の元ネタ曲「Ain’t That A Lot Of Love」の作者/オリジナル歌手であるホーマー・バンクスの作。「Soul Man」っぽいスタックス曲をやろう、ということで選ばれたのだろう。都合が良いことに、ドン・ブライアントのボスであるメンフィス・ソウルの重鎮、ウィリー・ミッチェルによるインスト版カヴァーがあったので、上記のブライアント版「Funky Broadway」に続けてボーナス収録。昨年秋(’18年10月)に他界したスワンプ・ロッカー、トニー・ジョー・ホワイトによる泥臭いカヴァー版もあわせて聴きたい。

 コントゥアーズ「Do You Love Me」はスタックス派のブルース・ブラザーズには珍しいモータウンの有名曲。同じくダンス・ネタの「Shake A Tail Feather」を意識した選曲だろうが、モータウン楽曲までやるのはさすがにどうなんだという気もする。途中でJB「Mother Popcorn」を挿入しているが、それならいっそJB「Think」(1960)をやった方が良かったのではないか。ファイヴ・ロイヤルズの原曲をキャッチーなホーン・リフでファンキーに改造したJB版「Think」は、ブルース・ブラザーズにピッタリの曲だと思うのだが(ブッカー・T&ザ・MGズもカヴァーしていたし、アレサの曲と同名である点も良いギミックになったはず)

 ベルーシが歌うスロー「Guilty」はランディ・ニューマンの作品。初出は『Takin My Time』(1973)に収録のボニー・レイット版、ニューマンの自演版は『Good Old Boys』(1974)で発表されているが、ベルーシが参照しているのは恐らく『I Can’t Stand A Little Rain』(1974)に収録のジョー・コッカー版。ベルーシはジョー・コッカーの歌真似を持ちネタにしていたからだ。アレンジ的にはブルージーなレイット版が最もBB版に近いが、この曲はやはり男性歌手が歌っているヴァージョンの方が良い。酒とクスリに溺れた男のブルーな独白は、『Made In America』発売から僅か15か月後(’82年3月)のベルーシの死を暗示しているようで実に切ない。

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ブルース・ブラザーズのステージ(恐らく「“B” Movie Box Car Blues」の演奏中)

 エイクロイドのソロ曲「Perry Mason」は、フレッド・スタイナー(『スタートレック』)作の米テレビドラマ主題曲。「Peter Gunn」を意識した選曲だろう。オリジナルのテレビサントラ版がSpotifyにないため(そもそも音盤化されたことがあるのか不明)、ハリウッド・プライム・タイム・オーケストラなる名義でSpotifyに転がっていた1分少々でサクッと終わる安っぽい再現版を代わりに入れておいた。

 コースターズの前身グループであるロビンズの監獄ソング「Riot In Cell Block Number 9」は、同じくリーバー&ストーラー作「Jailhouse Rock」の後継レパートリーとして打ってつけだ。そのまま女囚映画の主題歌にできそうなワンダ・ジャクソン版に続けて、’75年のドクター・フィールグッド版をボーナス収録しようかとも思ったが、ロック色が強すぎて結局選外(ワンダ・ジャクソンの次にサファリーズが来た方がスムーズという理由もある)

 ブッカー・T&ザ・MGズの渋い代表曲「Green Onions」は、サファリーズ版に加え、同曲のリフを流用して作られたサニー・ボーイ・ウィリアムソンの名曲「Help Me」も聴いておきたい(これが一番カッコ良かったりする)。ちなみに、収録はしなかったが、MGズ「Green Onions」には、リフを少しだけ変えた「Mo’ Onions」という続編曲もある。

 「I Ain’t Got You」の初出は’56年にシングル発売されたビリー・ボーイ・アーノルド版だが、録音自体はアルバム『Found Love』(1960)に収録されているジミー・リード版の方が早かったらしい。ここではよりパンチの利いたジミー・リード版の方を優先した。

 サニー・ボーイ・ウィリアムソンの’55年のシングル曲「From The Bottom」は、ブルース・ブラザーズ以前に目立ったカヴァーは見当たらない。この曲に目をつけたこともすごいが、土臭さの残る原曲を都会的なジャズ解釈で見事にモダナイズしたBBバンドの編曲力を何より賞賛すべきだろう。1st『Briefcase Full Of Blues』では「“B” Movie Box Car Blues」、『Made In America』ではこの「From The Bottom」にベスト・リサイクル賞を贈りたい。

 尚、ブルース・ブラザーズが取り上げたブルースやリズム&ブルースの古典曲は、’60年代にローリング・ストーンズ、ヤードバーズ、アニマルズなどのブリティッシュ・ビートバンドにも盛んにカヴァーされたが、それらイギリスの若者たちによる黒人音楽解釈はまた毛色が違うので、今回は一切選んでいない(スペンサー・デイヴィス・グループはオリジナル版を演奏しているバンドなので例外)。このオリジナル音源集シリーズは“アメリカ製(Made in America)”という点にこだわって編纂されていることをここで断っておく。

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ウェイン・コクラン(左)、コクランとJB(右)。一時キング・レコードに在籍し、JBとレーベル・メイトだったこともある彼は、’70年代にJBのテレビ番組〈Future Shock〉にゲスト出演し、JBから“ソウル・ブラザーNo. 2”の称号をもらっている

 アルバムの最後に楽曲がフィーチャーされているウェイン・コクランは、『ブルース・ブラザース』の劇中(興行師スラインとの会話場面)でも言及される米ブルーアイド・ソウル歌手。トサカのような巨大なポンパドール頭と大味なシャウト唱法がトレードマークのJBフォロワーで、兄弟が取り上げたアップ・ナンバー「Goin’ Back To Miami」は’66年にマーキュリーから発売された彼の代表曲。Spotifyに音源がないため、ここには彼のJBカヴァー「Please, Please, Please」を代わりに収めた(JB「Think」もカヴァーしている)。正直、三流感が否めない歌手ではあるが、ブルース・ブラザーズのレパートリーを多く含む’60年代後半のレア音源を満載したAce編纂の2枚組CDアンソロジー『Goin’ Back To Miami: The Soul Sides 1965-1970』(2014)は、熱烈なBBファンならチェックしておいて損はないだろう(が、大して得もないと思う。BBをきっかけにこれから古いリズム&ブルースやソウルを聴こうと思っている若いリスナーには絶対にお勧めしない)

 最後にボーナス収録されているギャンブル&ハフ作の「Expressway To Your Heart」は、ブルース・ブラザーズの初のベスト盤『Best Of The Blues Brothers』(1981)の収録曲。それまで未発表だったライヴ録音がアルバム冒頭に目玉曲として収録された。フィラデルフィアの白人バンド、ソウル・サヴァイヴァーズによるオリジナル版、ドン・ブライアントによるカヴァー版(「Soul Man」みたいになっている)に続き、ブッカー・T&ザ・MGズによる同曲のインスト版で第3集はしみじみと終わる。

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ブルース・ブラザーズのフル・コンサート映像は、グレイトフル・デッドの前座として出演した’78年12月31日、サンフランシスコのウィンターランド公演が定番(約50分。映像集『The Best Of The Blues Brothers』でも数曲使われていた)。YouTubeに画質の良い全長版が上がっているが、一度きちんとソフト化してもらいたいところ


Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第1集】(2019.02.09)
Blues Brothers’ Briefcase~ブルース兄弟の鞄【第2集】(2019.02.11)
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