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Angelo Moore & The Brand New Step @ Basement Bar 2018 (part 2)



 アンジェロ・ムーア&ザ・ブランド・ニュー・ステップのコンサートを観た……という話のパート2(サポート・アクトたちの奮闘についてはパート1を)

 スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ファンカデリック、バッド・ブレインズらの精神を継いで'85年にデビューし、ファンク、スカ、ハードコア、メタルなどを混ぜ合わせた破天荒なごった煮サウンドで、レッチリやビースティ・ボーイズらと共に'90年代オルタナ時代の礎を築いたロサンゼルスの黒人バンド、フィッシュボーン。現在も活動を続け、日本にも多くの熱烈なファンを持つ伝説級のバンドだが、私に関して言うと、'80年代末〜'90年代初頭の一時期、マノ・ネグラやリヴィング・カラーといった同系バンドとあわせて少し聴きかじった程度で、その後の彼らの四半世紀の歩みについては何も知らないという体たらくだった(そういう人は現役ファン以上に多いと思う)

 ブランド・ニュー・ステップは、フィッシュボーンの顔であるアンジェロ・ムーア(ヴォーカル/サックス)がサイド・プロジェクトとして'13年に始めた新ユニット。現在までに『Sacrifice』(2013)、『Centuries Of Heat』(2016)という2枚のアルバムを発表している。来日情報を知って試しに聴いてみたところ、これが“ごめんなさい!”と謝りたくなるほど素晴らしい。ソウル、ファンク、ヒップホップ、スカ、レゲエなどを交配したミクスチャー・サウンドはフィッシュボーンに通じるが、過激で性急なロック色はほぼ皆無で、より黒人音楽のマナーに沿ったソウルフルかつポップなファンク・サウンドを聴かせる。良い意味で成熟し、洗練された印象だ。私の知る範囲で言うと、ナールズ・バークレイや、フランスの黒白混成ファンク・バンド、ビビ・タンガ&ザ・セレナイツ Bibi Tanga & The Selenites あたりに雰囲気が近い。Bandcampで軽く試聴した後、迷わずCDを購入。はっきり言って、プリンスの最近作『Hitnrun Phase Two』(2015)と同じくらい良い。どうして今まで私はこのユニットを知らなかったのだろう。

 そうして迎えたブランド・ニュー・ステップの初来日公演。'18年4月17日(火)、場所は下北沢 Basement Bar。キャパ250人のライヴハウスで行われた一夜限りの来日公演は、フィッシュボーンの長年のファンはもちろん、私のようなもぐりのリスナーにもアンジェロ・ムーアという才人を再発見させてくれる実に素晴らしいものだった。


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観客フロアからアンジェロ登場!

 サポートの日本人バンド/DJたちのパフォーマンスの後、予定時刻を10分押した22時35分、遂にアンジェロ・ムーア&ザ・ブランド・ニュー・ステップの登場。

 ステージ上のメンバーによるアコギ&エレキ・ギターのレイドバックした伴奏に乗って、柔和なサックスの音色がどこからともなく聞こえてくる。観客の騒ぎ声がするフロア後方を振り返ると、テナー・サックスを吹きながらアンジェロがゆっくりと人混みを縫って歩いてくる! フィッシュボーンのショウで彼はいつもダイヴで観客フロアに飛び込むが、今回はいきなり観客の中から登場した。鯔背なファッションに身を包み、穏やかにサックスを吹き鳴らす姿は猛烈に絵になる。“洒落者”という形容がピッタリ当てはまる人だ。

 決して巧くはないが、この人は素朴で温かみのあるとても味わい深いサックスを吹く。マイクを通さない生音の繊細なブロウは、親密感に溢れた格別の響きだった。狭いライヴハウスならではの演出。すぐ目の前で吹いているので、微かな息遣いや音孔の開閉音まで聞こえてくる。サックスを吹きながら観客に片手を差し出し、握手を交わすフレンドリーさもたまらない。観客に囲まれてフロア中央でしばらくソロ演奏を聴かせた後、ステージに上がって本格的なパフォーマンスが始まった。

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待ってました!のアンジェロ・ムーア&ザ・ブランド・ニュー・ステップ

 幕開けは2ndアルバムの冒頭曲「Gratitude」。自分の人生を支えてくれた人たちに感謝の念を捧げるゴスペル調の温かなソウル・ナンバー。私のアンジェロ観は25年前で止まったままだったので、最初にYouTubeでこの曲のMVを視聴したとき、“これがあの('87年来日時にテレビ朝日で暴れ'92年の川崎クラブチッタ公演でステージとPA卓をダイヴで往復した)アンジェロ・ムーアなのか?”と私はとてもビックリした。50代になった彼の人間的な温かみと深みが伝わってくる素晴らしい曲だ。

 アコギを使ったカントリー風情のライヴ版「Gratitude」には、シャーデー「In Another Time」と似たような枯れた味わいがあった。スライ・ストーンやモーリス・ホワイト系の粘着質でしなやかなアンジェロの歌声は、年齢を重ねて程良くハスキーさを増している。何より印象深かったのは、イントロからたっぷりフィーチャーされた彼の渋いサックス演奏。2本のサックスがハモるスタジオ版に顕著だが、どこか郷愁を誘うアンジェロの木訥としたブロウにはローランド・カークとよく似た黒っぽさがあると思う。今回のショウを観て、私はサックス奏者としての彼の魅力に初めて気づいた。フィッシュボーンとは一味も二味も違うソウルフルな幕開けに静かに興奮!

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テルミンを演奏するアンジェロ

 ショウはブランド・ニュー・ステップの2枚のアルバムの曲を中心に進行した。観客に軽く挨拶した後、2曲目に披露されたのは1stアルバムの冒頭曲「Endless Possibilities」。サイケ感が漂うミッドテンポの捻れたファンク・ロック。イントロではアンジェロによるテルミンの演奏も見られた。普通のコンサートではまずお目にかかれない楽器だ。メイン楽器のテナー・サックスに加え、今回のショウで彼は頻繁にテルミンを演奏し、それがサウンド面でもヴィジュアル面でも面白い効果を上げていた。

 バンドはアンジェロを含めて全6名。ジム・グリア(キーボード)とクリス・ジェンセン(ギター)の白人2人は、ブランド・ニュー・ステップの2ndアルバムにアンジェロと共に正式メンバーとしてクレジットされているユニットの中心人物。サポート参加のJJ・ジャングル(ベース)とハサン・ハード(ドラム)は、'90年代前半から活動するオークランドのポリティカル・ヒップホップ・バンド、ザ・クープのメンバー。紅一点のブリドニー・リース(バック・ヴォーカル、美人!)は、ジム・グリアのプロデュースで'14年に『Poison』というデビュー作を発表しているロサンゼルスのR&B歌手。

 ブランド・ニュー・ステップとフィッシュボーンは、音楽性以上にサウンド・プロダクションに大きな違いがある。フィッシュボーンが完全生演奏のオーセンティックなバンド・サウンドであるのに対して、ブランド・ニュー・ステップはブレイクビーツを土台にしたトラック感の強いヒップホップ寄りのサウンドを特徴とする。今回のショウでは、部分的にシーケンスのリズムを使いながら、人力度の高い演奏でアルバムとは一味違う熱いサウンドを聴かせてくれた。ブランド・ニュー・ステップはライヴ・バンドとしても素晴らしい。

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レゲレーション・インディペンダンスと2曲で共演

 3〜4曲目では、前座出演していた日本のダブ・バンド、レゲレーション・インディペンダンスのホーン隊3人がステージに迎えられ、この日限りの特別共演が実現した。まずはJBマナーのアップテンポのファンク「Centuries Of Heat」。トロンボーン(齋藤徹史)、トランペット(外間正巳)、テナー・サックス(黒須遊)の3管による歯切れの良いリフと、ファンキーなソロ回しが会場を大いに盛り上げた。生演奏だとやはりアルバム以上にストレートにファンク色が出る。「Sex Machine」と「Get On The Good Foot」を混ぜたような乗りだ。

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「Centuries Of Heat」でソロを吹く黒須遊(レゲレーション・インディペンダンス)

 “次はマリファナの合法化についての歌だ。カリフォルニアでは解禁されたし、ここでもいずれ解禁されることを願ってる。まだ遅かねえぜ”というアンジェロの曲紹介で次に披露されたのは、同じく2ndアルバム収録のレゲエ曲「Killaweed」。レゲレーションのホーン隊が引き続き参加し、リフの演奏で華を添える。彼らの参加は急遽決まったらしいが、JB流ファンクとレゲエ調のこの2曲はレゲレーションの音楽性ともバッチリ合っていて、即席とは思えない見事なアンサンブルを聴かせてくれた。

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シャツがイカすアンジェロ

 レゲレーション・インディペンダンスとの共演後、1stアルバムからの曲を2曲続けて披露。「Got To Have It All」はヘヴィーロック風の重いビートに乗った低速ファンクだが、アンジェロの吹くサックスがフィッシュボーンとはまた違ったムードを漂わせて実にクール。軽快なファンク・ポップ「Dream Crusher」では、再びテルミンを演奏。両腕を糸巻きのように胸元でグルグル回しながらウニョウニョと音を出す様子が面白い(楽しそう!)。

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どんどん熱気を増していくステージ

 中盤で披露された「Halos To Nooses」は、この時点で音源未発表の新曲。トランプ政権に触発されたと思しきメッセージ・ソングで、歌詞は愛と憎しみの相克を歌っているようだった。歌とラップが混じったアップテンポのアグレッシヴな曲調はフィッシュボーンにも通じるもので、全くの新曲ながら会場を大いに沸かせた。観客の強い反応に触れて、アンジェロも“気に入ったかい?”と演奏後に嬉しそうに言っていた。

 続く「Don't Hold Back(1stアルバム収録)は、'90年代ヒップホップ色が濃厚なミッドテンポの横揺れファンク。スタジオ版にはないアンジェロのハードボイルドなサックス・ソロがカッコいい。彼はこの曲でもテルミンを演奏したが、それがターンテーブルのスクラッチ音を模していて、これまた実に面白い。ブリドニー嬢の艶っぽいバック・ヴォーカルも最高だ。いつまでも踊っていられるようなタイプの曲だが、惜しくも4分弱で演奏終了。個人的には「Halos To Nooses」〜「Don't Hold Back」と続いたこの中盤が最もツボだった。

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「Karma Cashback」でフロアに飛び込んだアンジェロ

 因果応報を歌った「Karma Cashback(2ndアルバム収録)は、ローリング・ストーンズ「You Can't Always Get What You Want」を彷彿させるゴスペル調のロッキッシュなスロー。曲の後半でアンジェロがフロアに降り、観客にマイクを向けてサビを歌わせる場面もあった。ダイヴこそしなかったものの(そもそもダイヴできるような人口密度ではなかった)、フロアに乱入して真剣に観客と向き合う姿はさすがアンジェロ・ムーアと思わせる。小さなハコでも決して手を抜かず、こうして大熱演してくれるのが嬉しい。

 ファンカデリック〜プリンス系のロッキッシュなパーティー・ファンク「It's All Right(1stアルバム収録。「Will To Create」として2ndで再録音)、フィッシュボーン的なミクスチャー感を持った「Castaway(2ndアルバム収録)で場内は更にヒートアップしていく。後者は、気怠いファンク・サウンドが途中でいきなりフリーキーに爆裂する曲で、僅か2分の小曲ながら強烈なインパクトを与えた。ブリドニー嬢の絶叫とテルミンの狂ったような異次元ノイズがスゴい。アンジェロ・ムーアここにあり!と言いたくなるようなぶっ飛びサウンドだ。

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「Brand New Step」で踊るアンジェロと観客たち(皆でぐるぐる回っているところ)

 この日、最大のハイライトとなったのは、最後から2曲目に披露された軽快でキャッチーなスカ・ナンバー「Brand New Step」。1stと2ndアルバムの両方に収録されているバンドのテーマ・ソング的な曲だ。

 コール&レスポンスで盛り上げた後、“みんなに新しいダンスを教えるぞ”と言ってアンジェロが再び観客フロアに入ってきた。フロアの真ん中に立ち、“俺のやる通りにやってくれ。ほら、照れるな、こっち来いよ”と言いながら彼は遠巻きに見ていた観客たちを手招きで近くに呼び寄せ、サビに合わせて実際にそのダンス──歌詞で示される東西南北の方角に合わせて右と左にステップし、後ろへ下がり、ぴょんぴょん飛び跳ね、ぐるぐる回る──をやってみせた。観客たちは彼に倣って左右や後ろに動いたり、跳ねたり回ったりする。最後はバック・ヴォーカルのブリドニー嬢もフロアに降りてきて、みんなで“Brand New Step”をわいわい踊った。最高。これはめちゃめちゃ楽しかった。

 大盛り上がりの「Brand New Step」が終わると、アンジェロが観客に礼を言い、バンドのメンバーたちを一通り紹介。この時点で時刻は既に23時35分を回っていた。“時間あるか? もう1曲いけるか?”とスタッフに確認した後、“よし、もう1曲だ”と最後にアンコール的なおまけ曲が披露されることになった。

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「Moonage Daydream」を熱唱するアンジェロ

 “デヴィッド・ボウイの曲をやるぞ。みんな、デヴィッド・ボウイ好きか? 実は数ヶ月前に俺はデヴィッド・ボウイの祝賀コンサートに参加してたんだ。観た人もいるかもしれないが、ここでちょっと彼の曲をやることにするよ”。そう前置きしてから始まったのは、ボウイのグラム時代の有名曲「Moonage Daydream」だった。

 確認してみると、デヴィッド・ボウイを敬愛するミュージシャンや生前のバンド仲間たちが集まってボウイ楽曲を演奏する〈Celebrating David Bowie〉というコンサート・ツアーがあり、アンジェロはその公演でちょっと前まで欧州と北米を廻っていた('18年1〜3月)。昨年2月には同ツアーで来日もしていたようだ。アンジェロ・ムーアを観に来て、まさかデヴィッド・ボウイの曲を聴くとは思わなかったので、これにはビックリした(オーラスは「Freddie's Dead」あたりを予想していたのだが……まんまと外された)

 アンジェロの「Moonage Daydream」カヴァーは原曲に忠実なストレートなものだった。張りのある力強い歌唱や、間奏のメロディをサックスで吹いていたのが印象的。ボウイ楽曲を真面目に熱唱する彼を見ながら、なんかスライ・ストーンとイギー・ポップが合体したような人だなあ、としみじみ思った。観客の期待とは違ったと思うが、これはこれでショウの締め括りとして相応しかったように思う。

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肩を組んでお辞儀するメンバーたち

 最後にメンバーたちが横一列に並び、肩を組んで観客に一礼。“あっちでブランド・ニュー・ステップのCDやTシャツも売ってるからな。どうもありがとう。ほな、さいなら〜”というアンジェロの挨拶でショウは幕を閉じた(なんとなく大阪弁くさい英語だった)。終演は23時40分。予定の50分より15分多い、65分の熱演。イベント自体はDJの出演でその後も少し続いたが、私は終電に間に合うよう、ブランド・ニュー・ステップを見終えた時点で会場を後にした。


WHO SAYS A FUNK BAND CAN'T PLAY ROCK?
──ファンク・バンドがロックやって何が悪い?


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アンジェロ・ムーア&ザ・ブランド・ニュー・ステップの1stアルバム『Sacrifice』(2013)、2ndアルバム『Centuries Of Heat』(2016)

 帰り道、ショウを締め括った「Moonage Daydream」のことを考えるうち、私はふとナイル・ロジャーズの以下の発言を思い出した。デヴィッド・ボウイと『Let's Dance』(1983)の制作に入る際、アルバム・コンセプトとしてボウイから示された1枚の写真についての回想である。“ナイル、こういう音にしたいんだ”と言ってボウイが差し出したその写真には、赤いスーツを着て赤いキャデラックのオープン・カーに乗り込んでいるリトル・リチャードの姿があったという。

「その写真を見せられた時、ロックンロールに根差したモダンでタイムレスなサウンドを彼が求めていることが分かったよ。彼が言うロックンロールってのは、ロックンロールがそもそも意味していたところのそれだった。それはレイス・ミュージックであり、ブラック・ミュージックであり、つまり、タブーだった音楽のことだ。人々から支持されたけど、批評家たちからは“何だ、この黒い音楽は?”と言われたものさ。俺はその1枚の写真からそういうことをすべて了解した」(12 January 2016, Rolling Stone)

 ファンク、スカ、ハードコア・パンク、ヘヴィーメタルなどが渾然一体となったフィッシュボーンのハチャメチャで猥雑な音楽は、白人音楽として定着する前の、まだ単なるレイス・ミュージックだった原初的なロックンロールのパワーを黒人の手に奪還するものだったと思う。新ユニットのブランド・ニュー・ステップでは、そうした──ある意味、ややこしくて分かりにくい──フィッシュボーンの音楽性が、現代的な黒人音楽(ヒップホップ/R&B)のマナーで非常に分かりやすく示されている。このあたりは、プロデューサーとしてユニットの中核を担うロンド・ブラザーズ Rondo Brothers(ジム・グリア+ブランドン・アーノヴィック。ハンサム・ボーイ・モデリング・スクールなどのダン・ジ・オートメイター関連作に参加していたサンフランシスコのプロデューサー・デュオ)、クリス・ジェンセンという3人の白人ミュージシャンの力によるところも大きいだろう。しっかりプロデュースされた2枚のアルバムからは、アンジェロ・ムーアの豊かな音楽的才能がフィッシュボーン作品以上に明快に伝わってくる。

 この記事を読んでいるプリンスのファンに、私はブランド・ニュー・ステップを聴くことを全力でお勧めしたい。優れた自己プロデュース能力を持つプリンスを仮に“黒いデヴィッド・ボウイ”とするなら、良くも悪くも天然気質のアンジェロ・ムーアは(売れた試しがない点も含めて)“黒いイギー・ポップ”と呼ぶに相応しい人だと思う。デヴィッド・ボウイのファンが『The Idiot』や『Lust For Life』を通してイギー・ポップを知るように、私はプリンスのファンにブランド・ニュー・ステップを通してアンジェロ・ムーアという才人を(再)発見して欲しい。特に2nd『Centuries Of Heat』は傑作だ。これまでハチャメチャなやんちゃ者というイメージしかなかった彼が、実はミュージシャンシップに溢れた非常にシリアスなアーティストであることを、私は今回の来日公演で今更ながらに思い知った。同時に、(アンジェロにとってのストゥージズとも言える)フィッシュボーンというバンドを見る目もちょっと変わった。今回の公演は私にとって色々な意味で貴重な体験となった。

 プリンスやディアンジェロが好きな人は全員来るべきだったと思うが、ユニットの知名度の低さに加え、公演情報があまり行き渡っていなかったせいもあるのだろう、一夜限りの来日公演にもかかわらず、キャパ250人の会場には、多く見ても200人弱くらいの観客しか集まっていなかった(しかも、そのうちの30〜40人は前座出演したバンドのメンバーやDJ)。この音楽性ならビルボードライブあたりで公演してもおかしくないし、きちんと宣伝すれば客はもっと集まると思う。今年の夏、アンジェロはフィッシュボーンでフジロックに呼ばれているが、ブランド・ニュー・ステップでも是非また来日して欲しい。プリンス並みとはいかないにしても、この人はもうちょっと売れるべきだ。


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01. Gratitude
02. Endless Possibilities
03. Centuries Of Heat
04. Killaweed
05. Got To Have It All
06. Dream Crusher
07. Halos To Nooses
08. Don't Hold Back
09. Karma Cashback
10. It's All Right
11. Castaway
12. Brand New Step
13. Moonage Daydream [David Bowie cover]

Live at Basement Bar, Shimokitazawa, Tokyo, April 17, 2018
Personnel: Angelo Moore (vocals, tenor sax, theremin), Kris Jensen (guitar), Jim Greer (keyboards, guitar, backing vocals), J.J. Jungle (bass, backing vocals), Hassan Hurd (drums), Bridney Reese (backing vocals); with extra horn section from Reggaelation IndependAnce: Tetsufumi Saito (trombone), Masami Hokama (trumpet), You Cross (tenor sax) on "Centuries Of Heat" and "Killaweed"






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