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宇宙の花



 エヴァ・デュヴァネイ監督のディズニー映画『A Wrinkle In Time』('18年3月9日アメリカ公開)に提供されたシャーデーの7年ぶりの新曲「Flower Of The Universe」。映画の公開に先立ち、3月7日にシングルとして遂に音源が正式リリースされた。

 予想以上に予想通りと言うか、シャーデーはやっぱりシャーデーだったと言うか……。世界中のファンの期待に対する気負いなど微塵も感じられない驚異の平常心ぶり。何年ぶりだろうとシャーデーには関係ない、ということを改めて思い知らされるような曲である。




 Flower Of The Universe
 (Sade Adu/Andrew Hale/Ben Travers)
 
 They come to see the fire burning in your heart
 They want to witness this love from the start
 
 あなたの心に灯る火を見に来るのは
 愛の誕生を見守る使いたち
 
 They hear you when you cry
 This love is far and wide
 When you smile the stars align
 Flower of the universe and child of mine
 
 あなたの泣き声を彼らは聞く
 この愛は果てしない
 あなたが笑えば星たちが並ぶ
 宇宙の花 私の子
 
 When you sleep softly the angels come
 Like diamonds, like my love
 They want to know it's true
 There's someone in the world, lovely as you
 
 あなたが寝入ると天使たちが訪れる
 ダイヤのように 私の愛のように
 こんなに可愛い子がいると
 その目で確かめるため
 
 They hear you when you cry
 This love is far and wide
 When you smile the stars align
 Flower of the universe and child of mine
 
 あなたの泣き声を彼らは聞く
 この愛は果てしない
 あなたが笑えば星たちが並ぶ
 宇宙の花 私の子


Abeja_and_Mariposa.jpg

アベハ:シャーデーの新曲「Flower Of The Universe」!

マリポッサ:優しい曲だねー。子守唄みたい。

アベハ:そだねー。マイナー調のフォーキーな曲で。

マリポッサ:子供が主人公のファンタジー映画だから、主題歌はこういう郷愁を誘う幻想的な歌がいいよね。

アベハ:うん、今回シャーデーに求められたのはそういう曲だろうし、彼女はそれにきちんと応えたと思うよ。さすがプロだね。仕事人、シャーデー!

マリポッサ:でもさ、これって『Soldier Of Love』と変わんなくない? 「The Moon And The Sky」と「Bring Me Home」を足してビートを抜いた、みたいな。またこの音ですか?っていう。

アベハ:まあ、こういう穏やかなフォーク・サウンドがド田舎で暮らす今のシャーデーの地なんだろうね。

マリポッサ:7年ぶりなのに進歩なさすぎ。

アベハ:シャーデー農場では7年も7日も同じだもの。彼女の時間感覚はボクたちとは違うってことを忘れちゃいけないよ。

マリポッサ:そうだったー。スチュアートもそう言ってたっけ。

アベハ:きっとシャーデーは過去も未来もない円環的な時間軸の中で生きてるんだよ。

マリポッサ:『メッセージ』の宇宙人みたいに?

アベハ:そうそう、あれに近いよ。どこへ向かうわけでもないから、彼女には前も後ろもない。だから、ジャケに後ろ姿で写ってても違和感ないのさ。

マリポッサ:そっか、シャーデーは宇宙人なんだ。

アベハ:シャーデーに進化なんて期待しちゃダメだよ。深化はしてる気がするけど。

マリポッサ:そだねー。

アベハ:曲作りとプロデュースはシャーデー、アンドリュー・ヘイル、ベン・トラヴァーズの3人。

マリポッサ:トラヴァーズは7年前の「Love Is Found」でギターを弾いてた人だね。

アベハ:そう、ジプシー・ファイアっていうイギリスのジプシー・ジャズ・バンドのギタリスト。彼との付き合いが続いてるのは嬉しいな。

マリポッサ:彼がアコギで、アンドリューがピアノを弾いてるんでしょうね。

アベハ:スチュアートが絡んでないのは意外だったな。彼がたまにシャーデー農場を訪れてたのは何だったんだろ。

マリポッサ:遊びにいっただけじゃないの?

アベハ:ボクはこの曲でスチュアートにクラリネットを吹いてほしかったな。ちょっとジャズっぽい感じで。アウトロにクラリネットのソロが合うような気がするんだ。

マリポッサ:ハミングだけで延々と1分も引っ張るアウトロは確かに物足りないね。あんな鬼シンプルなアレンジ、普通だったらあり得ないわ。デモかよっ、っていう。

アベハ:うん、あそこでもうひと工夫するよ、普通は。あれでよく完成にしたよねー。

マリポッサ:もしかしたら“ご自由にお使いください”ってことかも。あのハミングは恰好のサンプリング・ネタだわ。

アベハ:そっか、シャーデーはサンプリングに好意的だもんね!

マリポッサ:わたしは歌詞が好きだな。シャーデーの優しさが滲み出てて。

アベハ:『A Wrinkle In Time(五次元世界のぼうけん)』は、メグっていう女の子が行方不明になった科学者の父親を探して時空を旅するお話なんだね。歌詞は物語と直接関係なさそうだけど、それっぽい世界観っていうか。

マリポッサ:小さな子を天使たちが見守ってるのね。母性全開、ユニバーサル・マザー!みたいな。この包容力と無条件の愛は「By Your Side」を思い出させるわ。

アベハ:「By Your Side」は東日本大震災の復興支援曲にもなったよね。ZAPUNIとコラボした'14年の短編アニメからの繋がりも感じるなー。

マリポッサ:わたしは“When you smile the stars align(あなたが笑えば星たちが並ぶ)”っていうラインが好き。星だったら普通は“shine(輝く)”だし、それでも次の“mine”と韻は踏めるじゃない。そこをわざわざ“align(並ぶ、列をつくる)”って歌ってる。イメージも音の響きもすごく優しいの。

アベハ:そだねー。シャーデーの歌詞はシンプルなんだけど、言葉遣いがすごく柔らかい。翻訳する人は大変だねー。

マリポッサ:掬おうとするとお豆腐みたいに崩れちゃう!

アベハ:ボクは“Like diamonds”ってところが好きだな。“shine”って言わずに世界のキラキラ感を表現してるもの。

マリポッサ:まあ、なんたって『Diamond Life』の人だからね。そこはちょっと往年のファンを意識してるんじゃない?

アベハ:シャーデーって何気にサービス精神旺盛だもんねー。

マリポッサ:監督のエヴァ・デュヴァネイさんは“「Flower Of The Universe」でシャーデーとはとても密接な協同関係にあったので、私は脚本を吟味し、劇中の実際の台詞の中に彼女の歌詞を取り入れました”ってプレス・リリースで言ってる。映画の撮影と同時進行で作られた曲なんだね。

アベハ:どの部分が台詞に使われたんだろ。映画を観るときは、どこにシャーデーの歌詞が出てくるかって点にも注目したいね。

マリポッサ:そだねー。

アベハ:同時リリースされたNo I.D.のリミックスはまずまずかな。

マリポッサ:まあ、意外性はないけどね。普通にビート付けただけっていうか。別に誰がやってもよかった気がする。

アベハ:作り替えるんじゃなくて、オリジナルに丁寧に肉付けした感じだよね。フツーって言えばフツーだけど、変なことやらなかったところにシャーデーに対する強いリスペクトを感じるよ。

マリポッサ:ちょっと気を遣いすぎた気もするけど。

アベハ:これでいいのさ、映画の主題歌なんだし。彼はエヴァとシャーデーが作った世界観を大切にした。これはグッジョブさ。この仕事で彼はシャーデーの信頼も得たと思うよ。

マリポッサ:No I.D.ってジェイ・Zの『4:44』を手掛けてた人でしょ。ジェイ・Zは7年前の「The Moon And The Sky」リミックスでフィーチャーされてたし、シャーデーは'12年のインタビューで“自分のキャリアでやり直したいことはありますか?”って訊かれて“『Soldier Of Love』でジェイ・Zにラップをお願いする”って答えてた。次回作へのジェイ・Zの参加はどうやら間違いなさそうね。

アベハ:う〜ん、何とも言えないけど、その可能性は高まったね。トラックの出来はともかく、No I.D.の参加にはとても大きな意味があると思う。田舎で動物相手に暮らしてるシャーデーがこうして外部の人間の刺激を受けるのはいいことさ。いきなりアルバム制作に入るとまた『Soldier Of Love』みたく黄昏ちゃうから、こういうリハビリを重ねてウォームアップしてほしい。そうすれば「Love Is Found」みたいなアップリフティングな曲も生まれるはずさ。

マリポッサ:“伝説の人。シャーデー、光栄でした”ってNo I.D.もツイートしてたし。お互いにプラスだよね。

アベハ:うん。だから、参加することに意義があるってことかな。

マリポッサ:参加することに意義があるって、なんかオリンピックみたいだね。

アベハ:それ以上だよ。オリンピックは4年に一度だけど、シャーデーの活動は10年に一度だもの。シャーデー作品に参加するってのは、ミュージシャンにとってはオリンピックに出ることよりもスゴいことなのさ。

マリポッサ:シャーデー、いいアルバム作って、オリンピックと一緒に東京に来てほしいね。

アベハ:そだねー。



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