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パープル・グラム~若き王子の体臭と回転、そして革命の申し子たち



 僕はアリゲーター 君らのママとパパ
 僕はスペース・インベーダー
 君らのためにロックンロールの売女になろう

 
 ──デヴィッド・ボウイ「Moonage Daydream」(1972)


 僕は女じゃない
 男でもない
 僕は君らには理解不能の存在

 僕は君らの救世主 君らが求めるがゆえ
 君らのために死んでみせよう
 お望みとあらば
 君らのために死んでみせよう

 
 ──プリンス「I Would Die 4 U」(1984)




PURPLE GLAM
The Funk and Roll of Prince the Kid and Children of the Revolution

Jeepster (1971) - T. Rex
Solid Gold Easy Action (1972) - T. Rex
Children Of The Revolution (1972) - T. Rex
Metal Guru (1972) - T. Rex
P. Funk (Wants To Get Funked Up) (1975) - Parliament
Starman (1972) - David Bowie
Dove (1970) - Tyrannosaurus Rex
Futuristic Dragon (1976) - T. Rex
Jupiter Liar (1976) - T. Rex
Moonage Daydream (1972) - David Bowie
My Death [live at Hammersmith Odeon] (1973) - David Bowie
Star (1972) - David Bowie
Ziggy Stardust [live at the BBC] (1972) - David Bowie
Five Years (1972) - David Bowie
Rock ’N’ Roll Suicide (1972) - David Bowie
Rip Off (1971) - T. Rex

 プリンス&ザ・レヴォリューション『Purple Rain』(1984)とグラム・ロックの関係を考察するプレイリスト『Purple Glam』。以前、“Prince追悼和訳メドレー【6】──紫の雨”で書いたプリンス&グラム・ロック考の資料音源集として作成した。『Purple Rain』のサウンドとコンセプト──とりわけ「Let’s Go Crazy」「Take Me With U」「When Doves Cry」「I Would Die 4 U」「Baby I’m A Star」「Purple Rain」の6曲──に影響を与えたと思しきT・レックスとデヴィッド・ボウイ作品を計15曲、アルバムの曲順に沿って並べてある。黒人音楽の世界でプリンスに先んじて『Ziggy Stardust』的な救世主コンセプトを打ち出したパーラメント作品──海賊ラジオ放送を模した「P. Funk (Wants To Get Funked Up)」──もどさくさに紛れて挿入。T・レックス「Dove」や「Futuristic Dragon」のように半ばこじつけで入れた曲もあるが(「Futuristic Dragon」とメドレー式に繋がっている「Jupiter Liar」は完全にオマケ)、全体を通して聴くとアルバム『Purple Rain』が朧げに浮かんでくるのではないだろうか。具体的にどこがどう似ているのか、という話は過去記事で。


The_P-Rex_Experience.jpg


THE P. REX EXPERIENCE

 上記『Purple Glam』の拡大版的プレイリスト『The P. Rex Experience』。T・レックスとジミ・ヘンドリクスを中心に、『Purple Rain』以外の作品も含めたプリンスのロックンロール曲の影響源を推察したもの。こちらは実際のプリンス作品とその元ネタと思しき作品を交互に並べてある。“元ネタ”と言っても必ずしも全体的にはっきりと似ているわけではなく、アレンジ、リズム、曲想などの点で部分的に影響が見受けられる曲も多く含まれている(U2のT・レックス・オマージュ曲「Hold Me, Thrill Me, Kiss Me, Kill Me」も流れでついでに収録)

 プリンスのロックンロール・サウンドのルーツにはもちろんスライ&ザ・ファミリー・ストーンやファンカデリックも挙げられるが、最も重要な影響源はマーク・ボランとジミヘンの2人ではないかと思う。特に、プリンスのギラついたエレキ・ギターの音色やブギウギへの偏愛、摩訶不思議なストリングスとアコギの組み合わせ、ハンドクラップのアクセントなどには、T・レックスのグラム・サウンドからの影響が強く感じられる。但し、パッと聴いた限りではそうとは分からないところがプリンスの上手さだ。彼のフィルターを通すと、T・レックス「Get It On」は「Cream」や「Peach」になる。「Let’s Go Crazy」をも凌ぐプリンス史上最高のハイエナジー・ロックンロール「Endorphinmachine」は、恐らく「20th Century Boy」に触発されている。

 もちろんプリンスが実際にそう明かしたわけではないし、これらは飽くまで私の憶測に過ぎない。永遠に閉ざされた天才ミュージシャンのブラックボックスの中身を想像するプレイリストとしてお楽しみいただきたい。

 ちなみに先日、プリンスの61歳の誕生日に公開したプレイリスト『Prince Is Alive (And He Lives In Minneapolis)』は、彼のロックンロール曲ばかりを集めた今までありそうでなかったコンピレーションである。実際に彼のギグの実況中継を聴いているような気分になれる体験型プレイリストなので、盛り上がりたい方はそちらもあわせてどうぞ。



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