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Angelo Moore & The Brand New Step──新たな一歩



 4月の来日公演が最高だったアンジェロ・ムーア&ザ・ブランド・ニュー・ステップ。来日公演どころか、ユニットの存在自体あまりにも知られていなさすぎる気がするので、ここでひとつ彼らの曲を拙訳と共に紹介しておきたい。

 「Brand New Step」は、ブランド・ニュー・ステップの1stアルバム『Sacrifice』(2013)と2nd『Centuries Of Heat』(2016)の両方に収録されているバンドのテーマ・ソング的な曲。フィッシュボーンにも通じるアンジェロ得意の軽快なスカ調ナンバーだ。'60年代によくあったダンス・ソング(ツイスト、モンキー、マッシュポテトなどの流行ダンスをテーマにした歌)のスタイルで書かれた楽しい曲だが、歌詞には現代社会の様々な問題に対する意識が感じられ、単なるハッピー・ソングにはなっていない。ここでアンジェロが聴き手に促すダンスとは、同時に“闘争”のことでもある。ボブ・マーリー「Could You Be Loved」(1980)にも比肩する傑作ダンス・ナンバーだと個人的には思う。

 来日公演では、サビの歌詞に合わせた“ブランド・ニュー・ステップ”(東西南北ダンス)をアンジェロがフロアに下りて観客に教えてくれ、皆で一緒に踊って大いに盛り上がった。私はこの人のことが大好きだ。アンジェロ・ムーアの素晴らしい“新たな一歩”をあなたにも知って欲しい。さあ、STEP RIGHT UP!




 Brand New Step
 (Jim Greer/Kris Jensen/Angelo Moore)
 
 Take a little step to the East
 Take a big step to the West
 Take a little step to the East
 Take a big step to the West
 
 東へちょいと踏み出そう
 西へぐっと踏み出そう
 東へちょいと踏み出そう
 西へぐっと踏み出そう
 
 Take a catapult to the top of the sky
 Go as far as you can go, see it with your eyes
 Tell all the women, bring all the girls
 Notify the men, round up all the boys
 Come and follow me and bring all your toys
 Break past the mesmerize, get foggy up your eyes
 
 カタパルトから飛び出し空高く
 とことん行って その目で見るんだ
 みんな集まれ 女の人も女の子も
 グズグズするな 男たちも男の子も
 おいでよ オモチャをいっぱい持って
 催眠術を打ち破って目を覚ますんだ
 
 Take a little step to the East
 (for freedom and for peace)
 Take a big step to the West
 (for flavor and for passion)
 Take a big leap down South
 (a fashion for the season)
 Take a tall hop up North
 (No fear just cross the bridge
 It's alright to flip your lid)
 
 東へちょいと踏み出そう
 (自由と平和を求めて)
 西へぐっと踏み出そう
 (小気味よく熱っぽく)
 南へぴょこんと飛び出よう
 (それが流行り)
 北へぴょんぴょん飛び跳ねよう
 (思い切っていってみよう
  タガを外しちまいなよ)
 
 Jesus Christ, thank God for an activated mind
 So jump back real loud for redemption over time
 Polar opposites, all coming together
 In the sunshine, or the rainy weather
 Choose your battles wisely, it's your liberation
 Lifetime is the test, so prepare your dissertation
 
 奮い立たせてくれる神様に感謝
 いこうぜ 救済めざしてもう一度
 水と油も寄り集まる
 晴れでも雨でも全員集合
 バカな争いはやめて自分を解き放て
 一生が試験 論文を用意しときな
 
 Take a little step to the East
 (for freedom and for peace)
 Take a big step to the West
 (for flavor and for passion)
 Take a big leap down South
 (a fashion for the season)
 Take a tall hop up North
 (No fear just cross the bridge
 It's alright to flip your lid)
 
 東へちょいと踏み出そう
 (自由と平和を求めて)
 西へぐっと踏み出そう
 (小気味よく熱っぽく)
 南へぴょこんと飛び出よう
 (それが流行り)
 北へぴょんぴょん飛び跳ねよう
 (思い切っていってみよう
  タガを外しちまいなよ)
 
 We all need to disconnect in order to maintain
 A high level of self-respect and polish for your brain
 If you're feeling lifeless, you can resurrect
 Your phoenix from the ashes, fire for a brand new step now
 
 俺たちみんな自分を見つめなきゃ
 自尊心をしっかり保ち オツムを磨こう
 生きてる気がしないなら 蘇らせろ
 灰の中から不死鳥を 新たな一歩の情熱を
 
 Take a little step to the East
 Take a big step to the West
 Take a big leap down South
 Take a tall hop up North
 
 東へちょいと踏み出そう
 西へぐっと踏み出そう
 南へぴょこんと飛び出よう
 北へぴょんぴょん飛び跳ねよう
 
 Take a little step to the East
 (for freedom and for peace)
 Take a big step to the West
 (for flavor and for passion)
 Take a big leap down South
 (a fashion for the season)
 Take a tall hop up North
 (No fear just cross the bridge
 It's alright to flip your lid)
 
 東へちょいと踏み出そう
 (自由と平和を求めて)
 西へぐっと踏み出そう
 (小気味よく熱っぽく)
 南へぴょこんと飛び出よう
 (それが流行り)
 北へぴょんぴょん飛び跳ねよう
 (思い切っていってみよう
  タガを外しちまいなよ)
 
 Now what comes up must come down
 And that's why we're spreading the knowledge around
 Cause there's a way to stay on higher ground
 And now is not the time to clown
 
 上がるものは必ず下がる
 だから知識を広めてる
 意識を高く持ち続けること
 今はおどける時じゃない


※原詞は聴き取りに基づくものです。部分的に誤りが含まれている可能性があることをご了承ください。


BNS2.jpg
『The Duke Is Tops』でぶっ飛んだダンスを披露するラバーネック・ホームズ

 私以外の人間には全くもってどうでもいい余談だが、上に埋め込んだ「Brand New Step」の公式ヴィデオ('16年6月8日公開)の制作には、なんと私(この私!)が間接的に関わっている。

 このMVには20世紀前半の様々なダンス映像の断片が散りばめられている。その中に、ラバーネック・ホームズ Rubberneck Holms というタップ・ダンサーの映像が一瞬登場する(2:19〜2:20。3番のサビ頭)。両手を大きく振りながら前傾姿勢でダイナミックにバックスライドする様子を捉えたその映像(上の画像参照)は、リナ・ホーンのデビュー作として有名な『The Duke Is Tops』(1938)という黒人映画の一場面である。私はこのダンサーが好きなので、最初に「Brand New Step」のMVを観たとき、すぐにこれに気付いた。ラバーネック・ホームズの映像を使うなんてニクいなー、と思った。

 でもって今回、「Brand New Step」の和訳記事を書くにあたってMVを再見したところ、ラバーネックのすぐあとに、続けてサミー・デイヴィス・Jrの足下が映っていることに気付いた(2:20〜2:21)。別の映像とオーバーラップで重ねられているので分かりにくいが、タップを踏む足下を後方からクローズアップで捉えたその映像は、間違いなく'67年のアムステルダム公演映像『Sammy Davis Jr. Show』の「Me And My Shadow」の一場面である。これを発見したとき、私は自分が知らないうちに「Brand New Step」MVの制作に関与していたことに気付いた。



 今から10年前の'08年、私は「Origins of the Moonwalk」という動画(↑)を作ってYouTubeに投稿したことがあった。マイケル・ジャクソンのダンスに直接、ないし間接的に影響を与えたと思われる20世紀前半の様々なダンサーの映像を、「Billie Jean」('92年ブカレスト公演のライヴ音源)のドラムビートに合わせて編集したものである。その中で私は、「Brand New Step」MVと同じように、上記のラバーネック・ホームズとサミー・デイヴィス・Jrの2つのカットを繋げて編集していた(1:33〜1:37)。こんな偶然があるだろうか。「Brand New Step」MVに登場するこれら2つのダンス映像は、元の映像ソースからではなく、どう考えても私が作った編集動画から取られたものだ。このことに私は昨日(!)初めて気付いた。

 動画「Origins of the Moonwalk」の初投稿は'08年6月2日。マイケル・ジャクソンの50歳の誕生日('08年8月29日)に合わせて、当時、私はこの動画を教材にした“ムーンウォークの起源”という記事も書いた(動画に登場する各ダンサーを解説しながら、マイケルのダンス・スタイルのルーツを探る。マニアックな記事だが、興味のある方はどうぞ)。「Origins of the Moonwalk」はマイケルの他界直後から再生数が伸び始め、一時は再生数120万回を超える人気動画になったが、そのせいで他のユーザーからさんざんパクられもした(人が徹夜で頑張って作った動画を自分のチャンネルにアップし、イージーに人気を得ようとする輩がYouTubeにはうじゃうじゃいる)。アカウント停止と再アップを繰り返した末、現在、私の4番目のYouTubeチャンネル(AbejaMariposaIV)にある再々アップ版('13年7月25日投稿)は再生数約115万回となっている。

 「Brand New Step」MVの監督は、先日の来日公演でギターを弾いていたブランド・ニュー・ステップの一員、クリス・ジェンセン。アンソニー・ロッコという人物と共に編集も彼が手掛けている。MVに使う古いダンス映像素材をYouTubeで探していて、私の動画を見つけたのだろう。もしかするとアンジェロも動画を見たかもしれない。もともと私はマイケルに見てもらいたくてこれらのYouTube動画を作ったのだが(「Origins of the Moonwalk」は彼のダンス・ルーツを辿る3部作動画の2作目だった)、こうして思わぬ形で自分の好きなアーティストの作品に貢献することができて私はとても嬉しい。彼らにしても、MVのネタに使ったYouTube動画の作者が、まさか自分たちのショウに来ているとは思わなかっただろう。まったく、なんという奇縁だろうか。


※ラバーネック・ホームズの出演映画には『The Duke Is Tops』(1938)と『The Notorious Elinor Lee』(1940)の2本がある。“ムーンウォークの起源”を書いた'08年時点では入手困難で未見だった後者のパフォーマンス映像は、'11年に発売されたレア映像満載DVD『Tap Dance History: From Vaudeville to Film』でようやく観ることができた。そこでラバーネックは(バックスライド風の動きはしていないが)『The Duke Is Tops』と同様、独特のアクロバティックなダンスを披露している。



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