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Trè Samuels──ちょっと大人なラズベリー酒



 昨年、デビューEP『Lost In Translation』を発表したメルボルン出身の超美少年モデル、トレ・サミュエルズくん(18歳)が、2nd EP『Raspberry Wine』でちょっと大人になって戻ってきた。上の近影と“Raspberry”という単語にドキッと来た人、酔いすぎに注意!


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Raspberry Wine
Digital: Creamy Spies, 13 August 2017

Raspberry Wine / Roll Thru / Stranger Things / SoLo SoHi / Alchemist / Love You With The Lights On

Produced by Silentjay

 '17年8月に発表された『Raspberry Wine』は、前作と同じく6曲入り。ミゲルを思い切りイケメンにしたようなオルタナR&B路線は基本的に変わらないが、'90年代ソウル感があった前作と違い、今回は(ジャケも含め)グッと'80年代色が強まっている。単なる'80年代回帰ではなく、'10年代仕様にしっかりアップデイトされたそれだ。青々しくてあっさり味のトレの歌声には、ファンキーな粘り気と同時に、少し大人の色気が加わった。これはいい。すごく、いい。

 タイトル曲「Raspberry Wine」は、案の定、プリンスへのオマージュ。誰が聴いても一発でそれと分かるリンドラムの特徴的なビート、スティーヴィー・ワンダー〜プリンス〜ディアンジェロの系譜にばっちり収まる屈折したソウル/ファンク感もさることながら、何とも言えない青さと甘みを持ったトレのヴォーカルが素晴らしい。声質そのものは似ていないが、この声の煌めきと人懐こさは、青年時代のマイケル・ジャクソンを引き合いに出したくなる。同じくプリンスのリンドラム・ビートを引用したジャスティン・ティンバーレイク「Until The End Of Time」(2006)に現代的な捻りを加えたような良曲だ。

 露骨にプリンス風なのは冒頭のタイトル曲だけだが、他にも程良く'80年代的で、程良くフューチャリスティックで、程良くファンキーな瑞々しいR&Bナンバーが並ぶ。清涼感溢れる切ない小品「Stranger Things」、ブギー風味の爽やかなアップ「SoLo SoHi」、トラップに陥りそうで陥らない「Alchemist」も良いが、個人的には、美メロのアーバンなミディアム「Roll Thru」と、シャーデーっぽい黄昏感が漂う最終曲「Love You With The Lights On」が特に気に入った。タイトル曲と並ぶ(というか、それ以上の)強力ナンバー「Roll Thru」は、是非MVを作って欲しいところ。

 制作を担当したのは、ハイエイタス・カイヨーテとの合同ツアーや、同バンドのバック・ヴォーカリストであるジェイス・XLとのコラボ作『Sacrifice』(2016)で知られる同郷メルボルンの若手プロデューサー、サイレントジェイ。前作のレイチェル・ジェイムズも良かったが、サイレントジェイがここで手掛けた'80年代感覚のフューチャー・ソウル・サウンドは、マイケル・ジャクソンの面影を持つトレにピッタリだ。何より、前作にはなかったファンク感が加わったことで、華奢だった彼のヴォーカルに自然と腰の強さが生まれている点が良い。確かな成長を感じさせる大興奮のEPだ。

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最近のトレ・サミュエルズくん

 それにしても、今回のプリンス・モードには驚いた。トレ・サミュエルズの身長は189cmである。太字でもう一度書こう。189cm、だ。おまけにスタイル抜群、顔は超イケメン。そんなプリンスが存在していいのだろうか?

 いいんです! 川平慈英もそう言っている。マイケルか、プリンスか──'80年代から音楽ファンの間で延々と闘わされてきたこの不毛な議論に終止符を打ち、世界にフォースの均衡をもたらす21世紀の来るべきスター、それがトレ・サミュエルズなんです! 川平慈英もそう言っている(いや、言っていない)。くぅ〜!

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相変わらずモデル業も忙しいトレ・サミュエルズくん

 21歳でマイケルは『Off The Wall』を、プリンスは『Prince(愛のペガサス)』を発表した。トレは今年まだ18歳。彼の伸び代は計り知れない。更なる成長を遂げるだろう数年後のフル・アルバムが楽しみで仕方ない。


※1年前に当ブログで紹介した際、YouTubeのトレ・サミュエルズ公式チャンネルから消えていたデビュー曲「Man I Wanna Be」(2012)のMVは、現在、再び視聴可能になっている(その他の“歌ってみた動画”等は非公開にされたまま)。“21世紀の少年MJ”としか言いようがないマジカルな作品なので、未見の方は是非。


TO BE CONTINUED...



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