2017 101234567891011121314151617181920212223242526272829302017 12

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

Prince大感謝和訳メドレー【3】──美しきもの



 2016年を締め括るプリンス小特集。彼のディープな名曲を1日ひとつずつ訳し、改めて感謝の念を捧げる和訳メドレー(全4回)。

 第3回で取り上げるのは、『Purple Rain』(1984)収録の「The Beautiful Ones」。美女に翻弄される男心を歌った狂おしいバラードである。映画『パープル・レイン』の劇中では、ライバルのモーリス・デイになびきかけているヒロインのアポロニアに向かって、プリンスがこの曲を通して“奴と俺のどっちをとるんだ?”とステージから激しく迫る。歌詞、楽曲、編曲、演奏以上に、この曲はとにかくプリンスの歌唱が凄い。

 ジェイムズ・ブラウンが「Prisoner Of Love」を激唱する'66年の〈The Ed Sullivan Show〉映像を初めて観たとき、私は、こんな生々しいものをゴールデンタイムのお茶の間に流していいのだろうかと思った。「The Beautiful Ones」終盤のプリンスのシャウトは、そのJBをも凌ぐ激烈さである。決して卑猥なことを歌っているわけではないが、彼の歌唱は放送禁止になってもおかしくないくらい露骨(explicit)である。プリンスの曲の中でも、歌唱の激しさ、感情の爆発度、鬼気の迫り具体では屈指の作品。ここまで常軌を逸した歌声を、プリンス以降、私はいまだ聞いたことがない。


 The Beautiful Ones
 (Prince)
 
 Baby, baby, baby
 what's it gonna be?
 baby, baby, baby
 is it him or is it me?
 don't make me waste my time
 don't make me lose my mind baby
 
 ベイビー ベイビー
 どうなんだい?
 ベイビー ベイビー
 彼かい 僕なのかい?
 じらさないでおくれ
 気を揉ませないでおくれ
 
 baby, baby, baby
 can't u stay with me tonight
 oh baby, baby, baby
 don't my kisses please u right?
 u were so hard 2 find
 the beautiful ones, they hurt u everytime
 
 ベイビー ベイビー
 今夜は一緒にいられないの?
 ベイビー ベイビー
 僕のキスじゃ物足りないの?
 君はまたとない女性
 美しきものはいつでも人を傷つける
 
 Paint a perfect picture
 bring to life a vision in one's mind
 the beautiful ones
 always smash the picture
 always everytime
 
 一枚の完璧な絵
 自分の理想を描いた絵
 美しきものは
 いつもその絵を打ち砕く
 いつも決まって
 
 If I told u baby
 that I was in love with u
 oh baby, baby, baby
 if we got married
 would that be cool?
 
 言ってしまおうか
 君に惚れていると
 ベイビー ベイビー
 結婚しないかと
 どうだい?
 
 u make me so confused
 the beautiful ones
 u always seem 2 lose
 
 君は僕の頭を掻き乱す
 美しきものに
 人はいつもかたなしだ
 
 What's it gonna be baby?
 do u want him?
 or do u want me?
 cause I want u
 said I want u
 tell me, babe
 do u want me?
 I gotta know, I gotta know
 do u want me?
 baby, baby, baby
 listen 2 me
 I may not know where I'm going baby
 I said I may not know what I need
 one thing, one thing's 4 certain baby
 I know what I want, yeah
 and if it please u baby
 please u, baby
 I'm begging down on my knees
 I want u
 yeah, I want u
 baby, baby, baby, baby
 I want you
 yes I do
 
 どうなんだ ベイビー?
 奴をとるのか?
 俺をとるのか?
 君が欲しいんだ
 欲しいんだ
 教えてくれ
 俺が欲しいか?
 言ってくれ 言ってくれ
 俺が欲しいか?
 ベイビー ベイビー
 聞いてくれ
 俺は自分のしてることが分からない
 どうすりゃいいかも分からない
 ひとつはっきりしてるのは
 何が欲しいか そうさ
 もし良ければ
 良ければ ベイビー
 跪いて頼んでるんだ
 君が欲しい
 そうだ 君が欲しい
 ベイビー ベイビー ベイビー
 君が欲しい
 欲しいんだ


the beautiful ones, they hurt u everytime 美しきものはいつでも人を傷つける:“美しい薔薇には棘がある/薔薇に棘あり(Every rose has its thorn / There's no rose without a thorn)”とほぼ同じ意味。

the beautiful ones / u always seem 2 lose 美しきものに人はいつもかたなし(お手上げ)だ:“美女と野獣には抗えない(You can't say no to the beauty and the beast)”という誰かの歌をちょっと思い出させる(ついでに思い出したが、“computer blue”というフレーズは“electric blue”から来ているのではないか)。映画『パープル・レイン』の日本語字幕では、残念ながらこの部分が誤訳されている(“美しい女はいつもすべてを失う”)。“u”が“the beautiful ones”を指すことは文脈的にあり得ないだろう。ここは“u always seem 2 lose 2 the beautiful ones”、あるいは“ 2 the beautiful ones, u always seem 2 lose”と読むべきだ。



The_Beautiful_Ones2.jpg
キャンディス・スプリングスのヴィデオ「The Beautiful Ones」(2014)

 「The Beautiful Ones」は、プリンスが生前に目をかけていたBlue Note所属の若手女性歌手、キャンディス・スプリングス(私は行かなかったが、'16年9月初旬に来日公演があった)が'14年にカヴァーしていた。エレピの弾き語りによる穏やかでソウルフルなパフォーマンスには、“美しきもの”=プリンスへの憧憬が溢れている。インタヴューによれば、そのヴィデオの中で彼女が描いていたプリンスの肖像画(キャンディスは絵を描くのが趣味で、インスタグラムではシャーデーなどの肖像画も見られる)は、'14年7月にペイズリーパークで行われた『パープル・レイン』公開30周年記念コンサートに招かれた際、プリンス本人にプレゼントしたそうだ。

 あと、余談だが、今回「The Beautiful Ones」を訳していて、私は、以前このブログで取り上げたミゲルの「Simplethings」(2014)を思い出した。ミゲルの狂おしい歌唱を聴きながら、私は猛烈に“どこかで聴いたことがある”感を覚えていたのだが、その正体は「The Beautiful Ones」だった(スッキリ)。



Prince大感謝和訳メドレー【1】──欲ばり屋
Prince大感謝和訳メドレー【2】──スキャンダラス!
Prince大感謝和訳メドレー【3】──美しきもの
Prince大感謝和訳メドレー【4】──君に代わるものはない

プリンス関連記事◆目録

| Man's Man's Man's World | 03:50 | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT