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Jourdan Dunn──21世紀のスーパーシャーデー


RUSSH
Issue: #52, June/July 2013 (Australia)
Feat. Jourdan Dunn
Photography: Benny Horne
Fashion: Gillian Wilkins

 前々回の記事“Janelle Monae: The ArchAndrogyne File”でも軽く紹介したが、オーストラリアの女性向け隔月刊ファッション誌、RUSSHの'13年6〜7月号で、スーパーモデルのジョーダン・ダンがスゴいことになっている。

 '80年代ポップ・スターをモチーフにしたジャン=ポール・ゴルチエの'13年春夏パリ・コレクション(プレタポルテ/'12年9月発表)でもシャーデーに扮していた彼女が、今度はRUSSH誌の巻頭グラビアでシャーデー・スタイルに単独で大挑戦。現代風にアレンジされた'80年代シャーデー・ルックに身を包み、時代を超越したシャーデーの洗練美を見事に体現している。名前はジョーダンでも、この似方と美しさはもはや冗談では済まされない!


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JEAN PAUL GAULTIER jacket, shirt and pants; SONIA RYKIEL shoes; vintage CHANEL earrings from Liz Mendez Vintage.


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GIVENCHY top; vintage CHANEL earrings from Liz Mendez Vintage.


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PROENZA SCHOULER tops; GIVENCHY pants; vintage CHANEL necklace from Liz Mendez Vintage; vintage necklace from Atelier Mayer.


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Vintage CELINE shirt from Vintage Modes at Grays; CALVIN KLEIN pants; vintage CHANEL belt from Liz Mendez Vintage; vintage belt from Gillian Horsup at Grays.


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SONIA RYKIEL dress; vintage GIANNI VERSACE COUTURE shirt from Vintage Modes at Grays; ALEXANDER WANG shoes; FALKE tights; vintage CHANEL earrings from Atelier Mayer.


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BRIAN LICHTENBERG jumper; vintage CHANEL earrings from Liz Mendez Vintage.


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KSUBI jacket; GIVENCHY top; 3.1 Phillip Lim skirt; vintage CHANEL earrings from Liz Mendez Vintage.


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 じぇじぇじぇじぇっ! 美しすぎる! 触りたい!
 
 コンセプトとして実際に“シャーデー”が謳われているわけではないので、明らかにそれ風なのは半分くらいだが(トレードマークのフープ・イヤリングも使われていない)、むしろ、シャーデーをヒントに色々なスタイリングを考えてみました、というその広がりが面白い。ギリアン・ウィルキンスというスタイリストによって、ゴルチエのショウとはまた違ったアレンジが生み出されている。

 まず目を引くのは、表紙でも着られているゴルチエの黒いアシンメトリーのパンツ・スーツ。最初に写真を見た時、ジャケットを半分脱いでいるのかと思ったが、これは初めから上前(ボタン穴がある右半身)が欠けているジャケットのようだ。後ろは一体どうなっているのだろう。パンツも見事に左右非対称。'13年春夏パリコレで、ゴルチエはデヴィッド・ボウイのアシンメトリーのニット・スーツ──片腕と片脚が露出している──を焼き直していた。これはそれをタキシードに応用したものとも考えられる。このマスキュリンなスタイリングは、「Turn My Back On You」(1988)カヴァー写真のスーツ姿のシャーデーを意識したものか。服のデザインを引き立てるジョーダンの流れるようなポージングが美しい。

 黒いレザー使いは'84年のシャーデー風。カジュアルなアイテムと併用すると重くならず、品の良いセクシーさを醸し出せるような気がする。カルバン・クラインのレザー・パンツにセリーヌのリゾート風プリント・シャツ──裾を前で結ぶ──を合わせたコーディネートは、「Smooth Operator」と「The Sweetest Taboo」('84年と'86年のシャーデー)をミックスしたようで面白い。ジバンシーのタートルネックのカットソーを着て横を向いている写真は、恐らく'86年のシャーデー(Time誌の表紙を飾った有名な写真)を狙ったものだろう。同じカットソーの上にスビのブルゾンを着て『LOVE DELUXE』なポーズをとっている写真も、いかにもシャーデー的だ。腕部分に唐草模様が入ったこのブルゾンは、'85年のライヴ・エイドや'85〜86年ツアーでアデュが着ていた黒や赤のボレロを彷彿させる。

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'80年代のシャーデー──左上:'88年のシングル「Turn My Back On You」のカヴァー写真/右上:'84年「Smooth Operator」がヒットしていた頃(同年9月の初来日時のステージ衣裳もこれだった)/左下:Time誌'86年4月7日号表紙を飾った写真/中央下:'86年6月28日、ロンドンでの反アパルトヘイト・コンサート〈Freedom Beat〉出演時(オーバーサイズの男物シャツの裾を前で結んでいる)/右下:'85〜86年ツアーの衣裳(当時スペインにハマっていたアデュはボレロを好んで着用した)

 カジュアルでもクラッシーでエレガントなのがシャーデー。デコラティヴなエレ・ポップやニュー・ロマンティックが流行っていた'80年代に、シャーデーはとてもシンプルな格好をしていた。彼女のファッションは飾り気がなく、それでいて美しい。余計なものは身に付けず、最小限のアイテムで最大限のお洒落をするのがシャーデー流と言えるだろうか。女性があれこれ身に付けたがる貴金属類をフープ・イヤリングひとつに絞り込むあたりは、シャーデー・スタイルの最たる例だろう。その音楽と同様、彼女のファッションは引き算の美学で成り立っているように思える。いくらでも足し算ができるレディースではなく、限られたフォームの中で美しさを追求するメンズ・ファッションのデザイナーを彼女が志していたのも、故なきことではないだろう。

 但し、こういうさり気ないお洒落が様になるのは、やはり元が良いからである。ゴルチエの記事でも書いたが、シャーデーは本当に何を着ても似合ってしまう人なので、常人が迂闊に真似をすると惨敗する可能性が高い。ジョーダン・ダンはプロフェッショナルなので見事に適応しているが、簡単なようでいて難易度が高いのがシャーデー・スタイル。まずは地道に中身を磨くことから始めたい。


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i-D
Issue: #316, November 2011 (UK)
Feat. Jourdan Dunn
Photography: Alasdair Mclellan

 イギリスの隔月刊ファッション&カルチャー誌、i-Dの'11年11月号(第316号)表紙──6種類発売されたうちのひとつ──でも、シャーデー風のジョーダン・ダンが見られる。黒いタートルネックを着たこの写真は、'84年2月に「Your Love Is King」でデビューした頃のシャーデーを彷彿させる(中の写真は特にシャーデー風というわけではない)。

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i-Dの第14号(シャーデー表紙)と第15号(マドンナ表紙)

 ちなみに、シャーデーをどこよりも早く表紙に起用したのが、このi-D誌だった。シャーデー表紙のi-Dは、'84年1〜2月号(第14号/ニック・ナイト撮影)。そこで彼女はセクシーにウィンクをしていた(i-Dの表紙写真は、毎回、被写体人物の右目が何らかの形で隠れているという決まりがある。ウィンクをしている場合が多い。雑誌名の“i”と“D”を表現していると思われる)。そして、次の'84年3〜4月号(第15号)で表紙を飾ったのがマドンナ。彼女にとってもこれが雑誌表紙デビューとなった。当時、2人とも25歳。う〜ん、歴史を感じる?!


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'13年春夏パリコレ、ゴルチエのショウでシャーデーに扮したジョーダン

 ジョーダン・ダンは'90年8月3日生まれの現在23歳。シャーデーと同じイギリス人だ(ロンドン出身)。'07年秋、17歳の時にマーク・ジェイコブスとラルフ・ローレンのショウでランウェイ・デビュー。“新たなナオミ・キャンベル”とも言われ、'08年のプラダのショウでは、ナオミ以来、黒人女性として15年ぶりにモデルを務めている。以後、現在まで世界中の有名ファッション・ブランドや雑誌から引っ張りだこの超売れっ子として活躍中。最近では、歌手のリアーナがデザインを手掛ける英ハイストリート・ブランド、リバー・アイランドのコレクションで広告塔も務めている。実は既に一児の母だったりするのだが(19歳で男児出産。未婚)、とても子供がいるとは思えない抜群のプロポーションである。身長178cm。スリーサイズは81-58-89cm。

 '13年春夏パリコレのゴルチエのショウでシャーデーに扮した7人のモデルの中でも、最もシャーデーっぽい雰囲気を漂わせていたのがジョーダンだった。シャーデー役をやらせたら、現在、彼女の右に出るモデルはいないだろう。ジョーダン・ダンはまさに21世紀のスーパーシャーデーだ。

 ライは彼女と組めばいいのではないか。誰かロビン・ハンニバルにジョーダン・ダンを紹介できる人間はいないのか。ジョーダンには、音楽界のスーパーシャーデー=ライの広告塔(ヴィジュアル担当)として、是非ともアートワークや音楽ヴィデオでシャーデー役をやってもらいたい……というのは冗談です!

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こんな感じでどうでしょう?(絶対買ってしまうぞ)



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